2021年に宮澤ミシェルが期待する東京五輪世代の選手【第4回:三笘薫】「DFにとったら最悪のボールの持ち方をする選手」
サッカー解説者・宮澤ミシェル氏の連載コラム『フットボールグルマン』第185回。 現役時代、Jリーグ創設期にジェフ市原(現在のジェフ千葉)でプレー、日本代表に招集されるなど日本サッカーの発展をつぶさに見てきた生き証人がこれまで経験したこと、現地で取材してきたインパクト大のエピソードを踏まえ、独自視点でサッカーシーンを語る――。 今回も、宮澤ミシェルが注目する東京五輪世代のサッカー選手を紹介する特別編をお届け。第4回目に紹介するのは、昨年の大ブレイクを果たした川崎フロンターレの三笘薫(みとま・かおる)。「ディフェンスからしたら最も厄介」と、宮澤ミシェルも彼のドリブルを高く評価する。 ***** 堂安律と久保建英。東京五輪世代のアタッカーと言ったら、ふたりのどちらかの名前をあげる人が多いだろうね。 だけど、いまもっとも旬なアタッカーといえば、やっぱり三笘薫(川崎F)になるんじゃないかな。 この連載でも以前に三笘のことに触れたけれど、今シーズンの成長次第でどこまで飛躍するのかが楽しみな選手だから、やっぱりもう一度触れておきたいね。 昨シーズンのJリーグでの三笘の活躍は、いまさら言うまでもないよな。 ルーキーながら13得点をあげたことや、相手DFを切り裂いていくドリブルが抜群。でも、日本サッカー全体にとって三笘のなにがいいって、まずは右利きだってことだよな。 三笘は右利きだから、左利きの堂安や久保とポジションがかぶる可能性が低い。せっかく日本代表の将来を託せるような逸材が現れても、ポジションがかぶったら同時には使えないからね。その心配が小さいってのは大事なんだよ。 そして三笘のポジションは、日本代表が手薄になっているところってのもいいよな。 4-2-3-1の左サイドMFには、これまで中島翔哉、原口元気、乾貴士といった選手が使われてきたけど、逆サイドの右MFに比べると活性化は足りていなかった。それが三笘が現れて、一気におもしろくなる予感がするんだ。 三笘の何がすごいのかというと、彼はDFにとったら最悪のボールの持ち方をするんだよ。 右足でボールを突きながら、右足アウトサイドを使ってパスを出すんだけど、あれが厄介なんだよ。それだけなら対応できるけど、DFとしては当然ながらインサイドでタテに抜かれないようにしなきゃいけない。 結果的に三笘の次のプレーを予測できないから、後手後手の守備になってやられちゃう。本当に厄介なアタッカーだよ。 走り方も特徴があるよな。体の上下動が少ない走り方で、それに加えて徐々に加速するというよりは、一気にトップスピードに入るから、DFとしては対応するのが相当キツイ選手だよ。 シュートもコントロールショットが上手いからね。DFの股の下をトゥキックでシュートしたりもするしね。
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