モルドバから世界へ 日本未上陸の新進ブランド「OK KINO」の繊細なものづくりの背景を探る
ー既存ブランドに従事するのではなく、自分たちで創立するに至った動機とは? 最大の動機は、子どもの頃から自らの手で物を作ることに魅了されてきたからです。何かをゼロから作り上げるというプロセスに、ずっと夢中ですし、生涯にわたってそうだろうと思います。 学芸会で使用する衣装を縫ったり、絵を描いたり、布地を選んだり、古い洋服をアップサイクルしたりして、数え切れないほどの時間を祖母と過ごしたことを思い出します。 アイディアを思いついてからそれを実現するまでのプロセス全体は、私たちにとって紛れもない魅力を秘めています。やがてその想いは洋服という形で具現化されるようになりました。
文化的要素を現代の洋服と組み合わせる
ー繊細なカラーやカット、シルエットに「OK KINO」の美学を感じます。ブランドのコンセプトを教えてもらえますか? 「OK KINO」 のコンセプトと美学は、見慣れたアイテムを解体したり、個々のディテールを分離したりすることを中心とした変革的なアプローチと言えます。既存のオブジェクトを再考し、ユニークで個人的なものにするというプロセスに興味をそそられるのです。 散歩中に人間観察をしたり、建築や自然風景など、この世界の観察を楽しむオブザーバーというのが私たちの本質です。 都市生活を探索する場合でも、古い村の建築を探索する場合でも、ディテールにまで目を凝らします。 私たちのコレクションは、地元のモルドバ文化への言及を特徴としており、文化的要素を現代の洋服と組み合わせることが魅力的であるという美学がブランドの骨幹になっています。
ーコレクション制作において、2人で役割分担しているのか、共に制作しているのでしょうか? そのデザインプロセスとは? 2人で制作しているため、最初のステップは対話です。インスピレーションの多くは散歩中に生まれることが多く、もしくはスケッチしている最中に自然に思いつくアイディアもあります。 私たちは観察したものを言語化する習慣があり、これらのメモが創造的な探求の指針となります。デザインプロセスを掘り下げるとき、私たちは周囲の環境や個人的な経験から継続的に情報を引き出します。 たとえば、デビューコレクションでは、子ども時代の思い出、特に私たちの故郷である田舎の生活に根差した思い出がクリエイティブなプロセスに直接影響を与えました。