3・7・10歳で何が違う? 甘えさせると子どもは伸びる!
◆「甘えさせる」といい性格が育つ!
「甘え」という言葉は、実は日本特有の表現だそうです。心理学の名著『「甘え」の構造』(弘文堂)で、土居健郎先生がそのように述べています。 相手のことを信頼していて、なおかつ十分なコミュニケーションがとれているときに、はじめてその相手に甘えることができます。 一般的に「甘え」というと、あまり印象がよくないようにも感じますが、実は子育てや親子関係を考えるときには、とても大切なキーワードです。親と子どもがしっかりとした関係を築くには、「甘え」がその根底にあります。親への深い「甘え」やそれが許される関係性があってこそ、人は他者との深いコミュニケーションができるようになるのです。 子どもを甘えさせるうえでは、成長とともに距離感やバランスのとり方を変えていくことも必要ですので、ここでは、その考え方の基本を解説します。
◆3~6歳 心も体も全面的に受けとめよう!
生まれたての赤ちゃんは、すべてを周りの人に頼って生きています。ある意味、究極的な「甘え」の状態ですね。 赤ちゃんの強さは、すべてを人に委ねることができるということでもあります。そして、それを受けとめていくことが子育てのスタートです。 子どもは十分に甘えることにより、基本的な信頼感を得ることになります。 そのように考えると、子育ては「甘え」を前提としている営みであるということに気づかされます。 3~6歳頃の幼児期になると、子どもは、彼らなりの自立をさまざまな場面で発揮して、試してみようとします。親から見ているとハラハラしてしまいますね。 そのような姿が見られるのは、やはり甘えることのできる存在、自分を全面的に受け入れてくれる人(親)が、近くにいてくれるからです。 この時期、子どもを甘えさせるうえで大切にしていただきたいのは、「全面的な受けとめ」と「心身の受けとめ」の2つを行なってほしいということです。 1つ目の「全面的な受けとめ」というのは、いいことも悪いことも、すべてのことを受けとめるということです。 いいことは受けとめやすいですし、また積極的に認められます。しかし、お母さん、お父さんには、同じぐらいかそれ以上に、悪いことや、うまくいかないことも受けとめてほしいのです。 これは、子どもの行動に対して、親としての価値観をつけないということ。「甘え」をひっくるめた、あるがままのわが子を受けとめる、ということです。 2つ目の「心身の受けとめ」というのは、心も体も、甘えさせながら受けとめるということです。 幼い子どもは、「心」と「体」がとても近い関係性にあり、密接につながっています。その両者に対して、しっかりと充実感、甘え感を伝えてほしいのです。 子ども自身が、体と心でそのことを存分に感じられるようにしてください。「だっこ、だっこ!」とせがんだりすることは、まだあります。そんなときは、だっこしてあげてください。全身で子どもの「甘え」に応えましょう。 この2つの「甘え」を通じて、子どもたちは自分の存在に自信をもち、同時に人に対する信頼のタネを自分に根づかせます。「甘え」は、自分と他人を信頼でつなぐカギのようなものなのです。