「失敗を過度に恐れる人」に知ってほしい7名言、野村克也「恥ずかしいと感じることから進歩は始まる」
「失敗したくない」――生きていれば失敗はつきものだが、それでも失敗を避けたいのが人の性。私たちはどうすれば「失敗を恐れる心」から解放され、今よりも挑戦することに前向きになれるのか? 失敗や負けを恐れる心から抜け出すための「7つの名言」を、作家の向谷匡史氏による新書『リーダーとは「言葉」である』より一部抜粋・再構成してお届けする。 読売新聞のドンへの取材でわかった「超一流の条件」 1.大沢啓二(プロ野球選手・監督) 人生に悩みがあるのではない、悩みがあるのが人生なんだ。
親分肌、熱血漢、そして本質をズバリと口にする。「バッターってな、要は打ちゃいいんだ。ピッチャーは打たせなきゃいいし、ビジネスマンは会社に儲けさせりゃいい。ついでに監督はチームを勝たせればいいんだ」。取材で会ったとき、眉間に縦ジワを刻んで私に言った。ニコリともしない。冗談なのか本気なのか。「親分」と呼ばれて信望を集めた。 大沢はそんな人だ。悩みは万人に平等で、尽きず、逃れず。逃れられないものを逃れようとするのは愚かなことだとして、こんな言い方をする。「人間、生きてりゃ、悩みはつきない。社長は社長の、ペーペーはペーペーの悩みがあるわな。部長も悩めば、課長も悩むんだ。生きていくというのは、なかなかやっかいなもんさ。だから、悩みから逃れようなんて、虫のいいことは考えないことだ」
そして掲載の言葉を口にするのだが、大沢が信望を集めるのは、本質をついたあとで救いの一言をつけ加えることにある。悩みをサーフィンにたとえてこう続ける。「波に乗った数だけ上達するよな。それと同じで、悩みという波を努力というボードに乗って越えるたびに、生き方はうまくなっていくんだ。願ってもないチャンスじゃねぇか」。言われれば、なるほどと納得する。大沢親分は言葉のマジシャンでもあるのだ。 ■失敗なくして成長はない
2.ウィリアム・ローゼンバーグ(ダンキン創業者) 一度も間違ったことのない人はいないだろう。いるのであれば、それは、何にも挑戦しなかった人だ。 歩き出せば転倒のリスクがある。立ち尽くしていたのでは、つまずくこともないかわりに前には一歩も進めない。つまずいていい、失敗していい──ローゼンバーグはそう言い切る。34歳で母国アメリカでドーナツ店を開業。フランチャイズ制の導入で、現在、世界36カ国に1万1000店舗以上を展開。世界最大のドーナツチェーン「ダンキンドーナツ」(現ダンキン)をつくりあげた。