サウナ、下着、WiFiも…「男性不妊」に立ち向かう新生活習慣【専門家が監修】
グラフにもある通り、約40年にわたり英文で発表された欧米における精子に関する185の研究結果をまとめると、精子濃度も精子数も緩やかに減少し続けていることが判明した。
世界的に減退中。精子が危ない!
男性不妊の原因は主に3つ。造精機能障害が約8割。射精に難のある性機能障害も1997年の調査から約4倍に。出典/平成27年度厚労省分担研究-湯村班- 「日本ではこれほど長期間にわたる調査はないですが、同様の状況なのは間違いないです」と、メンズクリニックで男性不妊の診療を行う辻村晃先生。 「厚生労働省研究事業における全国調査によれば、男性不妊の主な原因は精子をうまく作れない造精機能障害です。 以前、子作りを考えている男性を対象に精子の状態を調べるブライダルチェックを実施しました。その結果を分析すると、精液の量、精子濃度、精子の運動率において、WHO(世界保健機関)の基準値を下回る人が全体の4分の1もいました。 生活する分には何も健康上の支障がなく、今後パートナーとの子作りも視野に入れている男性にも、妊娠に関わる問題を抱えている人は少なくないということです」 加齢による減少はやむを得ないが、生活習慣を改善することで、そのペースは緩められる。 「陰のう内の温度は32~33度が理想で、これより上がると精子の形成や質に影響します。下の図のような生活習慣に思い当たる人は見直すべき」 陰嚢の温度上昇の原因 タイトフィットな下着や毎日のように通うサウナ、メタボ体型は陰のうの温度上昇の原因に。生活に必須のインフラであるWi-Fiや過度なストレス、タバコも精子の質を下げるという研究結果も。 「また、細胞の老化を防ぐべく、抗酸化作用を期待できる亜鉛やコエンザイムQ10、L-カルニチンなどのサプリを摂るといいでしょう」
教えてくれた人
辻村晃 先生(つじむら・あきら)/1963年生まれ。順天堂大学医学部附属浦安病院泌尿器科教授。過去にはニューヨーク大学に留学し、細胞生物学臨床研究員を務めた。日本泌尿器科学会専門医・指導医、日本生殖医学会生殖医療専門医。
取材・文/門上奈央(初出『Tarzan』No.816・2021年8月5日発売)