安倍首相3選で改憲議論はどう進む 地方の危機感と野党連携
野党は本当にバラバラなのか
「安倍1強」状態といわれて久しいが、来年は統一地方選と参院選という選挙の年でもある。立憲民主党の枝野幸男代表は、安倍首相の3選を受けて「戦いやすい」「憲法は子どものおもちゃではない」などと語った。 中野教授は、野党連携について言及し、「野党が割れたままの状態で戦うべきではない」として、民進党時代や国民民主党でも議論のある共産党との選挙協力は必要だと述べた。 前回2016年の参院選では、全国で32ある「1人区」で野党統一候補を立て、野党側は11選挙区を制した。その前の2013年選挙で野党は31選挙区のうち2勝しかできておらず、一定の成果は出た格好だった。 「前回の参院選では、共産党との選挙協力があったので、すべての1人区で候補者を1本化できた。改選議席でいえば3分の2を阻止していた。野党側が同じような成果を求めるのならば、共産党との選挙調整は避けて通れない」(中野教授) ただこうした野党連携には、政策や理念の違う党同士による「野合」だとの批判もある。中野教授は、共産党を含めた野党協力について「コソコソとやるより堂々とやればいい」という。野党間でここまでは一緒にやれるという合意点と、この先は議論しないとどこまで一緒にやれるか分からない相違の部分を話し合ってはっきりさせるべきだとした。「同一政党に合併するわけではないので、違いが残るのは当たり前。自民党でさえ公明党と一緒に組んで、(公明党票という)『上げ底』がある」 中野教授は、バラバラだと揶揄されることの多い野党だが、実は国会では野党連携が進んでいると強調する。 「いろんなテーマで法案を提出できるくらいには、共通課題の認識は出来てきている。でも意外にそういう部分は知られていない。『野党は足並みが乱れている』と報じられてしまう」 2016年以降はその動きが加速し、当時野党第一党だった民進党と共産党、自由党、社民党などの野党4党、現在は立憲民主党と国民民主党、「無所属の会」、共産党、社民党、自由党の野党6党派で、虐待防止や選択的夫婦別姓、児童扶養手当の拡充などのテーマについて法案の共同提案を行ってきた。働き方改革に関しては当時の民進党と希望の党が、性暴力の防止では野党6党に日本維新の会も加わって提出している。 有権者には民主党政権時代に「裏切られた」という感情がいまだに根強く、「野党を過剰に罰している」傾向があるのではないかと中野教授は推測する。「そうしたハンディが立憲民主党や国民民主党にもつきまとう」 野党連携の成否は「信憑性のある受け皿を作れるかが大きい。過去を清算して、選挙に勝つためではない、新しい社会のあり方を提示できるという枠組みで戦えるか」が焦点だと語った。