「103万円の壁」3党合意も…「給与と社会保険料の負担が増え、中小企業は今後さらに厳しくなる」南関東のコンビニ経営者の嘆き【解説:エコノミスト宅森昭吉氏】
「外国人orインバウンド」は一時の勢いは薄れるも、依然景気の下支え要因に
11月の「外国人orインバウンド」関連の現状判断DIは57.9と10月の54.1から上昇しましたが、4ヵ月連続60を割り込みました。ただし、現状判断DIは22年5月から景気判断の分岐点50超が維持されています。 一方、先行き判断で「外国人orインバウンド」関連DIは、23年10月49.9から上昇に転じ、24年3月は23年7月69.8以来の水準である67.6まで改善しました。しかし、4月以降8ヵ月連続60割れとなりました。ひと時の勢いは薄れてきました。11月は56.8で10月54.2から若干上昇しました。依然50台での底堅い推移となっています。
企業「最低賃金上昇分をすべて価格転嫁することは難しい」
2ヵ月後に公表になる毎月勤労統計の6月・7月実質賃金がボーナス効果で前年比プラスになったことが影響し、8月まで景気判断の分岐点50を下回っていた「実質賃金」関連判断DIは9月に改善、先行き判断DIは60.7と50超に転じました。 しかし、8月・9月実質賃金がボーナス効果剥落で前年比マイナスに戻ってしまったこともあり、「実質賃金」関連先行き判断DIは10月43.8、11月41.7とかなり悪化しました。賃金の伸び率が物価上昇に追い付いていないと、毎月勤労統計の結果で再度認識させられたことが個人消費の足かせにつながったと思われます。 毎月勤労統計10月速報値の実質賃金・前年同月比は0.0%でプラスになれませんでした。速報性がある東京都区部消費者物価指数で、持家の帰属家賃を除く総合で前年同月比をみると、11月は+3.0%で10月の+2.1%から0.9ポイントも上昇しています。このため11月の実質賃金・前年同月比もマイナスの可能性が大きそうで「実質賃金」関連判断DIは厳しい数字が続きそうです。 11月の「最低賃金」関連DIでは現状判断は25.0、先行き判断は43.8になり厳しい判断が続いています。最低賃金改定で収入が大きく増え消費が活性化するという家計のプラス要因を期待する声は少なく、最低賃金上昇分をすべて価格転嫁することは難しいという企業のマイナス要因を指摘する声が多いようです。 なお、冬のボーナスへの期待から「ボーナス」関連先行き判断DIは7月57.1、8月68.8に続き、9月で70.8まで高まりましたが。10月60.0、11月は60.8と60台に鈍化しました。それでも11月のコメント数は30まで増加していて、個人消費の下支え要因となることが期待されます。