英政府、ジャンクフードのネット広告と日中テレビCMを禁止 2025年から
英国政府は肥満対策として、ジャンクフードの広告をオンラインでは全面的に、テレビでは午後9時より前に放送することを禁止すると発表した。保健・社会福祉省のアンドリュー・グウィン次官(公衆衛生担当)が12日の議会で説明したところによると、新規制は2025年10月から施行される。 この規制の目的は、脂肪分・塩分・糖分の多い食品のテレビCMや広告を子どもたちに見せないことだ。「広告規制は、あまり健康的でない飲食物の広告の蔓延から子どもたちを守るのに役立つ。こうした広告が幼少時から食生活の嗜好に影響を与えていることは実証されている」とグウィンは語った。 英国では、子どもの肥満が公衆衛生上の大きな課題となっている。公式発表によれば、2022~23年時点でイングランドに暮らす4~5歳の子どもの5人に1人以上、10~11歳の約37%が肥満または過体重だった。 広告規制発表と同日、英貴族院議員で医師のアラ・ダージ卿が、英国の公衆衛生・医療を担う国民保健サービス(NHS)の現状について厳しい報告を行っている。NHSは「深刻な問題」に直面しており、リソースがすでに大幅に限界を超えている中で疾病者数の増大に対応せざるを得なくなっているという内容だ。 新型コロナウイルス感染症のパンデミック以来、NHSでは救急医療、急病対応、待機医療の待ち時間が急増している。ダージ卿は、コロナ禍に先立ち、10年間にわたる緊縮財政と医療サービスへの投資の不足によって英国は弱体化していたと指摘。不平等が拡大し、富裕層と貧困層の健康格差が広がっていると述べた。 人々が病気になるのを未然に防ぐ公衆衛生戦略は、人口の高齢化に伴って増加すると予想される疾病の負担に国家が対処する際の切り札となると考えられている。 グウィンは12日の議会で「国民は、壊れたNHSの修復を望んでいる」「そのためには予防における革命が必要だ。予防可能な病気の要因に取り組み、医療サービスの需要を減らさなくてはならない。こうした要因の1つが小児肥満の危機であり、子どもたちを不健康な生活に追い込んでNHSにいっそうの圧力をかけている」と訴えた。 子どもたちにジャンクフード広告を見せないための措置を独自に講じている地域もある。英中部リバプールの議会は先週、屋外広告看板など公有スペースを使ったジャンクフード広告の禁止を検討すると明らかにした。ヨークなど、すでに同様の措置を導入している都市もある。ロンドンでも2019年に交通機関内のジャンクフード広告が禁止されたが、街中では今も多くの公共スペースで宣伝されている。 ジャンクフード広告規制は、もともと保守党の前政権が提案した政策だ。労働党の新政権が引き継ぐと約束した、少なくとも2つの注目すべき公衆衛生政策のうちの1つである。 もう1つの政策は初の禁煙法の導入だ。2009年以降に生まれた人へのタバコおよびタバコ製品の販売を禁止するもので、リシ・スナク前首相が提案した。もっとも、同法は喫煙そのものを違法行為とみなしてはいない。ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン政権(労働党)が2022年に制定した法律を参考にしたものだが、国民党主導の連立政権は昨年、施行前にこの法律を廃止した。
Katherine Hignett