名古屋で福士のリオ五輪出場を脅かすランナーは現れるのか?
すったもんだの末、福士加代子(ワコール)が欠場することで落ち着いた名古屋ウィメンズ女子マラソン。3月13日(日)のレースで、リオ五輪の女子マラソン日本代表選考会は最終決戦を迎えることになる。福士サイドが不安視している問題が起きる可能性はどれぐらいあるのだろうか。 日本陸連が発表しているリオ五輪のマラソン代表(男女各最大3枠)の選考要項では、昨夏の北京世界選手権で8位以内に入った日本人最上位者を代表に内定するとしており、女子は7位に食い込んだ伊藤舞(大塚製薬)が内定をゲットしている。そのため、国内選考会の3レースで、残りの「2枠」を争うことになる。 11月のさいたま国際は、吉田香織(ランナーズパレス)が2時間28分43秒で日本人トップ(2位)。優勝したエチオピア選手に約3分差をつけられており、その評価は高くない。1月の大阪国際は福士が、日本陸連の定めた設定記録(2時間22分30秒)を突破する日本歴代7位の2時間22分17秒で独走Vを果たした。代表は確実な状況とはいえ、選考基準(設定記録を突破した者を優先的に1名だけ選出)により、日本陸連から「内定」が与えられることはなかった。 なぜなら、名古屋ウィメンズで福士のタイムを上回る日本人選手が2名以上現れると、福士は“代表漏れ”する可能性があるからだ。日本陸連の酒井勝充強化副委員長も、「(名古屋ウィメンズに)出るなとは言えない。選考要項ではわずかに落選もありえる」とコメント。そのため、福士は名古屋ウィメンズの出場をほのめかして大騒動になった。 では、「福士問題」の最終局面となる名古屋ウィメンズはどんなレースになるのか。 前回大会は、最初の1キロを3分15秒で入り、高速レースの流れに乗った。5キロは16分49秒、5~10キロは16分41秒。大会主催者側が定めた設定タイム(5キロ16分55秒~17分05秒)を上回るスピードでペースメーカーが引っ張り、中間点を1時間11分08秒で通過した。レース後半もトップ集団は5キロ16分台で刻み、ユニスジュプキルイ・キルワ(バーレーン)が2時間22分08秒の大会新で優勝。日本人では前田彩里(ダイハツ)が日本歴代8位(当時)となる2時間22分48秒で3位、伊藤舞(大塚製薬)が自己ベストの2時間24分42秒で4位に入り、ともに北京世界選手権の代表に選ばれた。 今大会も前回と同じように5キロ16分40~50秒ペースで進めば、2時間22分台前半を狙うことができる。しかし、出場選手の顔ぶれを考えると、そこまでのハイペースなるとは思えない(ペースメーカーが引っ張るタイムは気象条件などを考慮して、最終的にはレース当日に決定する)。