年金22万円は「最低日常生活費」、年金増額するには長く働く
妻が専業主婦の夫婦の場合の平均年金額では、受給額が21万円から22万円程度で、共働き夫婦の平均額よりも5~6万円低い設定になっています。厚生年金は長く働くほど、支給額が上がっていく仕組みになっています。フィナンシャルプランナーの長尾義弘氏が著書『とっくに50代 老後のお金どう作ればいいですか?』(青春新書)で解説します。
専業主婦夫婦の月額22万円は「最低日常生活費」
■共働き夫婦とそうでない夫婦、年金はどう違ってきますか? ――ひと月26~27万円という平均額は、共働きのケースでしたよね。ただ、奥さんが働いているとは限りません。わたしの周囲にも、奥さんが専業主婦をしている夫婦が何組かいます。夫が会社員の場合でも、妻が仕事をしていないと、年金の受給額はだいぶ少なくなるんですか? 長尾FP 残念ながら、そうです。奥さんがずっと専業主婦ですと、奥さんの分の厚生年金はありません。こうした夫婦の世帯には、夫婦の基礎年金プラス、夫の厚生年金が支給されます。 妻が専業主婦の場合の平均額では、受給額が21万円から22万円程度で、共働き夫婦の平均額よりも5~6万円低い設定になっています。 ――なるほど。かなり厳しくなりますね。 長尾FP 意識調査のデータで、ぎりぎり生活できるという「最低日常生活費」の月額22万1000円とほぼ同じ受給額です。ですから、暮らしていけないというわけではありません。 ただし、相当厳しい生活にはなるでしょう。遊びやレジャーにお金を使うなんて無理で、生活するだけでやっとという暮らしですね。 これに対して、共働きの場合は、夫婦ともに厚生年金をもらえるので、老後はある程度安心できます。先に紹介した共働きの平均年金では、妻の給料を夫よりも低く設定していますが、夫婦が同じ程度の金額だったら、年金の総額はもっと上がります。 年収1000万円、2000万円のいわゆるパワーカップルなら、かなり楽な老後生活が待っていますよ。うらやましいですよね。 夫婦ともに正社員で共働きの場合は、2人とも退職金をもらえることが多いので、合わせると大きな額になる可能性があります。2000万円、3000万円ほどの貯蓄ができるかもしれません。 ■「企業年金」って、何ですか?うちにはないかも…その場合は? ――大企業に勤めている友人と老後の話をしたとき、彼が「うちには企業年金があるから良かった」と言ったんです。何それ?と思ったものの、ちょっと聞きづらくて。その企業年金とやらを、わたしももらえたらうれしいんですがね。 長尾FP 先ほど、誰もがもらえる年金の1階部分が国民年金で、会社員や公務員がもらえる2階部分が厚生年金だと説明しましたよね。この1、2階部分は国による社会保障で、「公的年金」というくくりになっています。 企業年金はこれらとは違って、企業や団体が独自に取り扱っている年金制度です。勤め人なら誰でももらえるものではなく、そうした企業や団体に勤めた場合にのみ支給されます。公的年金にプラスされるものなので、1、2階部分のさらに上にある3階部分の年金といわれています。