「心の翼を亡くしてはいけない」加藤健一と加納幸和が舞台『ドレッサー』上演に向けてコメント
加藤健一事務所2月公演『ドレッサー』が2月27日(土)から2日間にわたり、東京芸術劇場プレイハウスで上演される。それに伴い、本編中で座長役を演じる加藤健一とノーマン役の加納幸和からメッセージが到着した。 【全ての写真】『ドレッサー』 本作の舞台は第2次世界大戦下のイギリス。とある一座が空爆に怯えながらも巡業を続けていた。そんな中、心身ともに疲弊しきった座長(加藤)は突然街中で奇行に及ぶ。目も当てられない座長の様子に、その夜の上演を中止しようとする舞台監督のマッジ(一柳みる)と座長夫人(西山水木)。だが長年座長に仕えてきたドレッサー(付き人)のノーマン(加納)だけは、座長に宿る演劇への情熱を信じ、一度でも舞台の幕が開かない日があってはならないと、なんとか上演に向けて孤軍奮闘する。しかし、すっかり憔悴した座長を始め個性豊かな面々に振り回され、上演中も舞台裏はてんやわんや。そして迎えるクライマックス、それぞれが胸に秘めた思いが明かされる。 コロナ禍の影響で当初予定されていた2月25日(金)の公演は中止となったが、残りの東京公演と札幌公演3月5日(金)、京都公演4月24日(土)、兵庫公演4月25日(日) 、その他の北海道・中部北陸・九州地方の演劇鑑賞会公演(全て会員制の公演)は予定通り開催される予定だ。 加藤と加納のメッセージは以下の通り。 <加藤健一(座長役)> ――観客へのメッセージ 戦渦を生きる演劇人たちの姿を描いた『ドレッサー』は、今コロナ禍を必死で生き延びる私の姿と酷似しています。こんな状況の中で幕を開けなければならないのは非常に残念ではありますが、「こんな状況だからこそ、この芝居を上演する意味があるんだ」とも思っています。皆さん!劇場は、天井も高く、換気も良く、全員が同一方向を向いて無言で座っているだけですので、電車や一般の商業店舗などと比べても遥かに安全な空間です。また、二月末にはきっと、この感染症の先行きも見えて来ていると信じています。是非、劇場に足をお運び下さい!! ――コロナ禍での『ドレッサー』上演への思い こんなコロナ禍に芸術を鑑賞しなくても…と言う人がいます。しかし、ドイツ政府は「予断を許さない異常な状況と先の見えない不安感のなかを生き抜くには、体の健康だけでなく、精神面での健康を保つことも大変重要だ。そのため、アーティストは必要不可欠であるだけでなく、生命維持に必要なのだ。特に今は。」と言っています。なんと力強い発言でしょう。私たちはどんな状況にあっても心の翼を失くしてはいけません。心の健康を保つ為には、リスクを正確に把握する事が必要です。そして、何度も繰り返しますが、劇場は本当にローリスクだと信じています。 <加納幸和(ノーマン役)> ――観客へのメッセージ 役者、劇場、御見物、この3つが芝居の三大要素、つまり演劇が成立する基本。なのに!人々が集まる事を避けなければならないコロナ禍は、演劇には致命傷に近い。しかし空間を共有し、居ながらにドラマを仮想体験出来る芝居見物が、どんなに人々の心を豊かにするかは、古今東西実証済みです。だから、こんな時にこそ、芝居は癒しとして意義があると信じます。我々演劇人も、感染予防に対して、あらゆる手立てを駆使し、安心して御見物頂けるよう努力をしております。何卒御心配なく劇場へお越し下さいますよう、お願い申し上げます ――『ドレッサー』再演への意気込み 17歳で見た、つかこうへい事務所『戦争で死ねなかったお父さんのために』!演劇を志してからは『審判』、そして『ドレッサー』のノーマン!(1988年、座長役は三國連太郎氏)大き過ぎる存在のカトケンさんの相手役、しかもそのノーマン役を仰せつかるなど、夢にも思いませんでした。演出の鵜山氏とは2度目でしたが、初回で役者として、満足にお応え出来なかった気がして、リベンジなつもりでした。膨大な台詞に閉口しつつも、自分の素地のままでOKな役に巡り合うなんて、そうそうない!と嬉しさ一杯に務めた役の再演!嬉し過ぎます! ■舞台情報 『ドレッサー』 2月27日(土)、28日(日) 両日ともに14時開演