ヤフオク7万円のシトロエン・オーナー、エンジン編集部ウエダ、またしても緑の血の池地獄に!? ラスボスの後に真のボスは登場するのか?
レッカー車、出動お願いします!
ヤフー・オークションで7万円のシトロエン・エグザンティアを手に入れ、10カ月と200万円かけての大規模修復後、走り出したエンジン編集部員ウエダによる自腹散財リポート。1年目の夏はいろいろありつつも無事乗り越えたが、2年目の夏は次々と経年劣化による部品の寿命に遭遇し、ついにはお盆の真っ只中に…… 【写真25枚】またしてもレッカー車出動要請! 原因はこの写真! こんな小さなパーツが悪さしてたとは!! ◆山梨へのリベンジ 前回のリポートで山梨に向かったものの、冷却水タンク・キャップの不良でそうそうに引き返したことを紹介したが、今回はその時のリベンジの模様から報告しよう。 初夏のシフト・ロッドの破損や、悩まされたパワー・ステアリングの不調、LHM漏れ、そして冷却ファンの交換といった度重なる工場入りをなんとか乗り越え、ようやく路上に復帰したエグザンティア。たまには好調のところも家人には見せておかないと、ということで、1泊2日でふたたび山梨を訪れた。前回のリベンジ旅行、でもある。 山に囲まれた盆地ゆえ、甲府地方はとにかく気温が高い日が続いており、リポート車のデジタル表示の外気温計は、常に40度以上を示していた。しかし部品取り車のアクティバから移植した冷却ファンはバッチリと働き、水温は常に安定。長い渋滞に巻き込まれても、クーラーもよく効いていて快適そのものだ。 山梨では家人とカフェやレストランを回り、夜は古民家をリフォームした母屋と清流沿いに建てられた小さなタイニーハウスのある宿で、のんびりと過ごした。 日が落ちると古民家のある集落は灯りもなく、道もかなり狭いのだが、こういう時にエグザンティアのサイズ、特に車幅の狭さはありがたい。今どきのSUVだったら相当苦労して切り返すような村の古道を、すいすい抜けていく。ちょっと古いクルマは、実はこういうところもいいのである。 ◆あの赤いランプが点灯! 山梨への1泊2日の旅から帰ってからちょうど10日後。お盆の最終日に、僕はエグザンティアで今度は西へ向かった。この日のスケジュールは家族を帰省先でピックアップし、そのまま東京へとんぼ返りするというもの。早朝に都内を出発すると、運良く高速道路はガラガラ。待ち合わせの時間までかなり余裕があったので、僕は途中で一般道に下りて、前々から行ってみたかった浜松の中田島砂丘に立ち寄ることにした。 ここは日本三大砂丘の一つであり、海亀の産卵地としても知られている。浜松インターから10分ほど走っただろうか。コンビニエンスストアがあったので、ひと休みしようとエグザンティアを駐車場に入れる。すると、よりによってこの出先の、しかもお盆のこのタイミングで、あのLHMのレベル低下を示す「STOP」ランプが真っ赤に点灯したのである! ◆緑の池、ふたたび いやいや、つい先日漏れの修理はしたばかりだし「さすがに誤作動じゃないか?」と独りごちながらエグザンティアの下をのぞき込むと、無情にもまたLHMがぽたぽたと漏れ、緑色の小さな池ができはじめていた……。しかし駐車場の周囲の路面を見回しても、漏れた跡はほとんど残っていない。どうやらここに到着した直後に、LHMは漏れはじめたようである。 車高を上げ、クルマの下に潜り込んで漏れている場所を確認する。緑色のしずくは、あちこちからしたたっていた。ホースの一部が裂けたくらいなら、持ち歩いていた予備ホースに差し替えるとか、漏れているところを上から手当をすればなんとかなるかも……という淡い期待は、見事に裏切られた。 LHMは足まわりの硬軟を切り替える、車体前後に1つずつあるアディショナル・スフィアの根元、エレクトロ・バルブ本体から漏れ出ていたのだ。万事休す、である。前側のバルブは第25回のリポートで報告した通り、故障でハード側に固定されてしまったので交換していたのだが、後ろ側は周囲のホースこそ何度か交換したものの、本体は未着手だ。機械部品ゆえ応急処置程度では、どうにもならない。当然、中田島砂丘行きは中止である。 不幸中の幸いだったのは、この日のレスキューとレンタカーの対応がものすごくスムーズだったこと。たまたまキャリアカーで搬送業務を請け負う会社がコンビニのすぐ近くにあり、しかもお盆にも関わらずレンタカーも空いていたので、現場まですぐ回送されてきたのである。朝が早かったのも、よかったのかもしれない。最初はバスと電車を乗り継いで浜松駅くらいまで行かないと、レンタカーは借りられないだろうと覚悟していたのだが、ちょっとゆっくり珈琲を飲んでいるくらいの時間で引き渡しは完了。リポート車はとっとと搬送されて行き、レンタカーの鍵もすぐ受け取ることができた。 おかげで僕は予定通りの時間に、無事家族を迎えに行くことができた。しかもレンタカーの返却は浜松までわざわざ運んできて返す必要もなく、後日東京での引き渡しでOKだという。購入以来通算3度目となるキャリアカーの搬送は、こうしてサクサクと完了したのだった。 原因がエレクトロ・バルブだと分かっていただけに、カークラフトによる修理もスムーズに行われ、その日のうちにバルブは車体から分離。翌日には、ほぼ修復作業は完了した。結局エグザンティアはわずか4日で、再び僕の手元に戻ってきた。 お盆の、しかも出先ということで冷や汗をかいたわりには比較的軽傷だった今回の作業項目と工賃、部品代(※かっこ内に記載)は以下の通りである。詳細は例によってギャラリー内の写真キャプションを参照のこと。 ※部品価格などは2023年8月時点のもの ・リア・エレクトロ・バルブLHM漏れ、脱着、分解、Oリング交換&スペア・タイヤ&スペア・タイヤ・キャリア脱着、清掃 10,800円 (※エレクトロ・バルブ内Oリング 250円×3個 750円) 合計 11,550円 さて、こうして初夏から晩夏にかけて立て続けに起きたエグザンティアと僕の試練の日々は、ついに終わりを迎えた。そして蜜月の日々が、ふたたびやって来たのである!! ■CITROEN XANTIA V-SX シトロエン・エグザンティアV-SX 購入価格 7万円(板金を含む2023年8月時点までの支払い総額は276万7262円) 導入時期 2021年6月 走行距離 17万8821km(購入時15万8970km) 文と写真=上田純一郎(ENGINE編集部) 写真=カークラフト (ENGINEWEBオリジナル)
ENGINE編集部
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