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「周防正行」監督が語る「いい役者」の条件 本木雅弘がハプニングで取った行動とは…

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デイリー新潮

【対談】映画監督・周防正行×作家・二宮敦人(3/3)

「社交ダンス」という共通項を持つ、『Shall we ダンス?』の周防正行監督と、『紳士と淑女のコロシアム「競技ダンス」へようこそ』の著者で、学生時代踊りに青春をささげた二宮敦人氏。対談で周防監督が語った「いい役者」の条件とは。  ***

人に「預ける」面白さ

周防 映画って本当に究極の共同作業なんですよ。競技ダンスとか、体育会系運動部に近いのかもしれないけど。 二宮 そうなんですか。 周防 自分一人ではできないからこそ見えてくる面白さがたくさんあるんです。僕が監督になって覚えたのは、「人に預ける」ってこと。セットを任せた美術監督が、シナリオを読んで、こんな感じでどうですかと返してくれるときの驚きたるや! 自分が紙に書くんだったらとてもじゃないけど思いもよらない世界を返してもらえるんですよ。照明も、カメラマンもそう。たとえば、現場で「引き」って言ったときに、このカメラマンはこのシーンをこういう引きで考えるんだって知るのが楽しいんです。 二宮 それがちょっと違うってなったら。 周防 もっとこっちからいけませんかとか言うけど、自分の想像力には限界があるというのが前提なんです。大体のイメージは持って臨むけど、もっといいものがあれば180度違うものになってもいい。ただ、作品の世界観はあるから、スタッフが考えるときの目安を提示する。そうして相手に預けると、いろいろ考えてくれる。監督はそう言うけど、こういうのもあるんじゃないですかと絶対に返してくれるんですよ。

いい役者の条件は? 

周防  ロケ場所も、製作部がいろんな場所を探してくれるんです。最終的には、提示してくれた場所を一緒に歩いて決める。僕が持つイメージとは全然違うけど、この場所はあるかもしれないと思ったら、シナリオを少し変えたりして、そのことでより面白いシーンになったりすることもある。そうやって準備段階からキャッチボールを繰り返して、撮影が始まったら、その輪に役者が加わる。 二宮 はい。 周防 昔は撮影時間に余裕がなかったから、動きとか、ここでこうセリフを言ってこっちにハケてとか、自分で全部決めてやってた。そうじゃないと撮影が期間中に終わらないから。今は昔より余裕があるので、まずあなたのイメージで動いてみてくださいと言うことが多い。 二宮 自由に?  周防 それで見るんですよ。預けたものがどう返ってくるかという、あの積み重ねです。まったく時間がないときは仕方がないから決めてやっちゃうんですけど。 二宮 自分で全部決めないからこその面白さですね。 周防 自分の頭の中にあることをスタッフとキャストに再現させるっていう監督もいると思います。僕は、書きながらイメージしたものは目安だから、それをスタッフには伝えるけど、スタッフからこんなのどうですかというのが出しやすい現場にしたい。監督にこんなこと言ったら怒鳴られるとか思ったら、人は自由な発想を口にできなくなるじゃないですか。現場で経験のない助監督が言ったアイデアですら面白いことにつながるかもしれないんだから、どんなばかばかしい冗談でも言えるように、どんなアイデアを出しても、許される現場にしたい。最後は監督が決めればいいので。 二宮 アドリブで出てくるアイデアは面白いことがあるということですよね。 周防 ありますよ。役者だって頭の中で考えてきても相手の芝居で変わることがしょっちゅうある。 二宮 影響しあうわけですもんね。 周防 相手の芝居を見られる人、セリフを聞ける人はいい役者ですよ。 二宮 ダンスに似てますね。いや、ダンスに限らず人間と人間の関係と可能性について考えさせられて面白い。映画を観る目が変わりそうです。

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