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犯罪歴の長い成人、脳構造に特異性 反社会的行動研究

配信

The Guardian

【記者:Nicola Davis】  犯罪歴の長い成人の脳は、実直な人生を生きてきた人や、思春期にのみ非行に走った人と比較して、構造に際立った違いがあることが新たな研究で分かった。  研究結果の論文は、英精神医学専門誌ランセット・サイキアトリーに掲載された。研究を行ったのは、論文の共同執筆者エッシ・ビディング教授が所属する英ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(UCL)をはじめとするチーム。調査は1972~73年にニュージーランドで生まれた672人を対象に行われた。  研究チームは調査対象者が7歳から26歳になるまで、一定の間隔を空けて、反社会的な行動に関する詳細な記録を収集した。さらに調査対象者が45歳の時に、脳のスキャン画像を撮影した。  また調査対象者は反社会的な行動歴に基づき、三つのグループに分けられた。第1のグループは反社会的行動の兆候がほとんどみられなかった441人、第2のグループは思春期にのみ反社会的行動がみられた151人、第3のグループは子どものころからずっと反社会的行動がみられた80人だ。  第3のグループは他のグループと比較して、精神面の不調や麻薬使用の割合が高く、またより貧しい生い立ちの人が多かった。さらに第3のグループの反社会的行為や犯罪行為は概して、思春期にのみ非行に走った人々よりも暴力性が高かった。  研究チームは脳のスキャン画像を比較し、犯罪歴が長い成人は犯罪歴がない人々よりも、脳の多くの領域で表面積が小さいことを発見した。また犯罪歴が長い人たちの場合、感情の制御や意欲、行動の抑制に関係している領域の灰白質も薄かった。感情の制御や意欲、行動の抑制は、反社会的な人々が問題を抱えているといわれる行動側面だ。これらの結果は、知能指数(IQ)や社会経済的地位といった因子を考慮しても変わらなかったという。  思春期にのみ非行に走った人々でも、法律を順守してきた人たちと比べると灰白質の平均的な厚さに違いがみられたが、表面積については違いがなかった。  しかし、犯罪歴の長い人とこうした脳構造の因果関係は全く明らかになっていない。研究チームは、遺伝的要因や環境要因(幼少期の貧困など)が、人生の早い段階で脳を形成した可能性を挙げている。また人生のもっと後に遭遇する喫煙やアルコール、薬物乱用といった他の要因が、脳を変化させた可能性もある。  英オープン大学のケビン・マッコンウェイ教授は、「生涯に渡って続く反社会的行動は脳の発達異常の結果であるという仮説と、これらの調査結果は確かに一致している」「だが、観察結果が仮説と一致するからといって、仮説が正しいとは限らない。その可能性を除外できないというだけの話だ」と述べている。【翻訳編集】AFPBB News 「ガーディアン」とは: 1821年創刊。デーリー・テレグラフ、タイムズなどと並ぶ英国を代表する高級朝刊紙。2014年ピュリツァー賞の公益部門金賞を受賞。

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