「ドライバーとして完璧だった」ライバルも認める“最速マシン”じゃなくても速いフェルスタッペンの異次元の強さ
F1ドライバーの強さとは
続く17戦目のアゼルバイジャンGPで、レッドブルはマクラーレンにコンストラクターズ選手権で逆転され、首位陥落。20戦目のメキシコGPではフェラーリにもコンストラクターズ選手権で先行を許し、19年以来のコンストラクターズ選手権3位に降格することとなった。 ところが、ドライバーズ選手権ではフェルスタッペンが首位を維持していた。そこには相手チームの戦略ミスやドライバーのパフォーマンス不足もあったが、フェルスタッペンのドライバーとしての突出した能力の高さがあったことを忘れてはならない。フェルスタッペンはこう述懐する。 「勝利から遠ざかっていたときは本当に苦しかった。でも、絶対に諦めなかった。僕が諦めたら、そこで終わる。優勝できなくても、常に最大限の結果を残すことを心がけた。それでチームも一丸となって戦うことができたと思う」 タイトルを決めたラスベガスGPでもレッドブルは最速ではなく、初日のFP2でフェルスタッペンは17番手に終わっていた。予選ではなんとか立て直して5番手まで復調。レースでは優勝を目標に掲げず、チャンピオンシップの確定を最優先し、1つ後ろのポジションからスタートするノリスのペースを見ながら、先着することだけを心がけた。 結果的にこのレースでフェルスタッペンの後塵を拝し続け、シーズンを通しても数々のバトルを演じたノリスは、チャンピオンをこう称える。 「マックスの強さは苦しい状況でもミスを犯さないこと。最速のマシンを手にすればレースを支配し、最速のマシンでなくても確実にポイントを稼いだ。シーズンを通して悪いレースは一度もなく、ドライバーとして完璧だった。マックスは現在、世界最高のドライバーであり、おそらくF1史上最高のドライバーの一人だろう」
最速王者のベストレース
シーズンは残り2戦。レッドブルがコンストラクターズ選手権で浮上する可能性はまだ残されている。しかし、少なくともラスベガスGP時点で3番目に速いチームでしかなかったことは間違いない。ラスベガスGPで見たフェルスタッペンの走りが、これまでの4連覇を達成したドライバーとは異なる輝きを発していたように見えたのはそのためだ。 フェルスタッペンはこう言う。 「おそらく20年後、僕が引退したとき、このラスベガスGPを僕のベストレースの10選に選ぶ人はいないと思う。でも、タイトルを勝ち取ったこのレースは、僕にとってこれまでのどのレースとも異なる特別なものだ」 最速ではないマシンで4連覇を達成した史上初のチャンピオン。フェルスタッペンと同じ時代にいることに感謝したい。
(「F1ピットストップ」尾張正博 = 文)
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