人出の増加で国内景気は改善も、円安リスクが急浮上
帝国データバンクが実施した調査によると、2022年4月の景気DIは前月比0.4ポイント増の40.8となり、2カ月連続で改善しました。 4月の国内景気は、前月にまん延防止等重点措置が解除され人出が増大したことや、県民割など各種施策の実施がプラス要因となりました。また、自宅内消費が引き続き堅調に推移したほか、外食など屋外での消費活動も活発化するなど、厳しいながらも観光産業に持ち直しの動きがみられました。 一方で、燃料価格の高止まり、原材料価格の高騰、20年ぶりに1ドル130円台を付けた急速な円安の進行などもあり、企業の仕入単価DIは全規模・全10地域・28業種で過去最高を記録しました。コスト増大が企業収益を圧迫し、景況感の下押し要因になっています。また、中国の新型コロナウイルス感染拡大によるロックダウンなどで、一部の工場が生産停止となるなどの影響もみられます。
7業界で改善も、原材料高騰や急速な円安で仕入単価の上昇が続く
業界別の国内景気では、全10業界中、『サービス』『製造』『運輸・倉庫』など7業界が改善、『建設』『金融』など3業界が悪化しました。 まん延防止等重点措置が解除され「飲食店」「旅館・ホテル」など観光産業を中心に持ち直しの動きがみられた一方、原材料の高騰や燃料価格の高止まり、急速な円安により、仕入単価DIは28業種、販売単価DIは17業種で過去最高の水準に上昇しています。 『サービス』は2カ月連続で改善。「まん延防止等重点措置が解除となった」(日本料理店)や、「県民割などの事業再開のため旅行者が多い」(旅館)など、依然として水準は厳しいものの「飲食店」(同9.0ポイント増)や「旅館・ホテル」(同10.2ポイント増)が大幅に改善。また、企業の人手不足感が再び高まりつつあるなか、「人材派遣・紹介」(同1.3ポイント増)も2カ月連続で改善しました。他方、「エンドユーザーの景気が戻っておらず、民需の商談がとても厳しい」(ソフト受託開発)など、「情報サービス」(同0.3ポイント減)は3カ月ぶりに悪化しました。 一方、『建設』は2カ月ぶりに悪化。ウクライナ情勢もあり、木材や鋼材、生コンクリートなど建材価格の高騰、設備の納期遅れが続くなか、『建設』の仕入単価DIは76.1と過去最高の水準を更新しました。企業からも「資材高騰や景況感の悪化で案件の減少、取り止めもみられ、採算を確保できる案件がなくなった」(建築工事)と厳しい声が聞かれています。他方、「3月16日に福島県沖で発生した地震災害の影響で、4月~5月末までは忙しい状況」(内装工事)など、一部地域では復旧工事の開始をプラス材料としています。