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心臓が止まるかと思ったツイート 車いすユーザーが考える「強さ」 明るい話題を優生思想にしないために

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弱い人は枠の外へ、の空気感

冒頭で触れた某アーティストの言葉と、この思い出に直接のつながりはない。また二年ほど前から各地で訴訟が行われた、旧優生保護法ともやはりまっすぐにはつながらない(旧優生保護法(1948~1996)。障害を持つひとに対して中絶や不妊手術を強制的にできた法律。第一条に〝優生上の見地から、不良な子孫の出生を防止するとともに、母性の生命・健康を保護することを目的とする〟とある)。 それでもなぜ、この思い出がよみがえってきたのか。 理由がわからないまま、某アーティストのツイートを改めて見つめる。26,000を超える「いいね」がついている。 優生保護法、と検索をかけてみる。「優生保護法 仕方ない」という関連キーワードが上位に出てくる。 あの時から変わらない、と思った。四年前、津久井やまゆり園であの悲劇が起きてしまってもなお。 「優秀なひとたち」を優遇するため、あるいは「普通のひとたち」が「安心して生きる」ために、それは仕方ないという空気感。 「弱いひとたち」を支えるにはお金も労力もかかる。だからそういうひとたちは枠の外にはずれてほしい、という空気感。 そんな空気感の醸成がとまらない。

彼女も「弱いひと」ではなかったか

そんな空気感のなかで「弱いひとたち」とは誰にあたるのか。もしかしたら、自分ではきっとどうしようもできなかった事情で学校をやめた彼女も、それに含まれるのかもしれない。 でも「弱いひとたち」は、本来なら優しさで包まれるべきひとたちだ。幸せにならなきゃむしろおかしいし、夢も希望もあるひとだっているだろう。もちろんそのためのセーフティーネットは多々ある。手を差しのべてくれるひとたちだって、本当にたくさんいる。 それでも現実には、そんな空気感のなかに含まれてしまうかもしれない「弱いひとたち」の苦しみは絶えない。 もちろんすべてがそうではないが、会社の社員募集欄の条件には大抵「大卒」「高卒」が当たり前のように記載されている。「中卒」で低賃金の職にしか就けず、給料日前はご飯とお茶だけでしのいでいた方を知っている。あるLGBTの方が職場でカミングアウトした直後から無視され、退職を余儀なくされた苦しい経験をブログに書かれていたのを読んだこともある。介護施設などでの高齢者や障がい者への虐待のニュースも、定期的のごとく流れてくる。 なぜ? 理由は複雑に絡まり合っているだろうから、知識人でもなんでもない私にむやみな発言はできない。深い考察もできない。 ただ、そういう現実の後ろにある空気感を感じ取ることだけはできる。某アーティストのツイート。それについた「いいね」の数。「優生保護法 仕方ない」の検索ワード。 そんな空気感に含まれる「弱いひとたち」という成分。先ほども書いたがそれに彼女も当てはまるのかもしれない。直接にはつながらないこの思い出がよみがえった理由は、きっとここにある。

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