「遺族年金」が廃止されるかもというニュースを見ました。本当に廃止されることになったらどんな対策を講じればいいですか?
議論されている「遺族年金廃止」の内容とは
「遺族年金廃止」のニュースが物議をかもしていますが、実際に議論されているのは遺族年金廃止ではなく、遺族厚生年金制度の一部見直しであることに注意が必要です。中でも主に騒がれているのは、20~50代に死別した子のない配偶者の遺族厚生年金についての見直しではないでしょうか。 現行の制度では20~50代で子のない人が配偶者を亡くした場合、女性にのみ遺族厚生年金が支給されます(30歳未満は5年間の有期給付)。見直しの方向性として掲げられているのは、主に以下の2点です。 ・時間をかけて段階的に有期給付の対象年齢を30歳以上に引き上げる ・対象者を男性にも広げる 見直しが実現すれば子のない20~50代の女性は遺族年金が有期給付となるものの、遺族年金が完全に廃止されるものではありません。遺族年金を受け取れる男性が増えるといった改善もあります。 また、有期給付の対象年齢の拡大にともなう配慮措置として、収入要件の廃止や亡くなった配偶者との婚姻期間中の厚生年金期間に係る標準報酬等を分割する「厚生年金の死亡時分割」の創設なども検討されており、悪いことばかりではありません。 このほか、中高齢寡婦加算、寡婦年金の廃止や子に対する遺族基礎年金の支給停止規定の見直しなどさまざまなことが議論されているため、今後、制度がどのように変わるのか注目する必要があります。
遺族年金の制度見直しに備えてできる対策は?
遺族年金の完全廃止が議論されているのではないとはいえ、20~50代で配偶者を亡くした場合に、配偶者の収入がなくなり、子がいなければ5年間で遺族年金も打ち切られる状況になると考えると、収入面での不安は大きなものでしょう。 特に子育てなどでキャリアを積めなかった人が中高齢で配偶者と死別した場合、十分な収入を得られる仕事に就くのは難易度が高いのが現状です。 遺族年金の制度が見直されても万が一のときの生活に困らないために、早い段階から貯蓄を始めたり資産運用をしたりして、生活資金を準備しておくことがより重要になります。また、収入保障保険などの生命保険に加入して、配偶者に何かあっても当面の生活資金が途切れないように備えておくのもよいでしょう。
万が一のときに遺族年金だけに頼らなくていい資金計画を
遺族年金の制度は当面廃止される心配はありませんが、一部を有期給付に移行することが検討されています。制度が改正されると、配偶者の収入で生計を維持していた場合は、数年で生活を維持できる収入の確保を迫られることになるでしょう。 万が一の際に障害年金だけに頼らなくてよいように、貯蓄や生命保険など、生活資金を確保できる対策を講じておくことが必要です。 出典 日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額) 日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額) 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部