べインが富士ソフトに1株9600円でのTOB提案、KKR上回る
(ブルームバーグ): 富士ソフトに対する株式公開買い付け(TOB)に関連し、米ベインキャピタルが11日夜、1株当たり9600円に価格を引き上げると発表した。
富士ソフトを巡っては、米KKRが19日までの日程で1株9451円でTOBを実施中だが、べインの価格はこれを上回る。発表資料によると、べインのTOB実施は富士ソフトの賛同が条件で、2025年1月下旬または2月上旬をめどに開始を目指す。11日に富士ソフトの取締役会に対し、提案と協議再開を打診した。
富士ソフトのウェブサイトによると、横浜市に本社を置く同社は1970年の創業。独立系の情報技術(IT)企業として、自動車などの組み込み系ソフトウエア開発や業務系システム構築などに従事する。KKRは同社への投資について、連結で1万人を超えるシステムエンジニアが財産であるとし、日本代表の平野博文氏はITサービス業界が変革期を迎える中で業界の主要プレイヤーの同社への投資を「喜ばしく思っている」と述べていた。
KKRは段階的にTOBを実施しており、その持ち分は現時点で富士ソフト株主総会での重要提案への拒否権を持つ3分の1を超える。べインのTOBが会社側の賛同を得られた場合でも、経営陣の合意形成が困難となる可能性がある。
KKRは9月から1株8800円で第1回のTOBを実施。べインは10月11日、対抗して1株9450円でのTOBを提案したが実施はしていない。KKRが現在実施中の第2回TOBでは、べインの価格を上回る1株9451円に引き上げ、会社側も賛同を表明していた。同社を巡るグローバルファンドの異例の戦いは、延長戦の様相を呈してきた。
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Hideki Suzuki, Lisa Du, Taro Fuse