ガソリンスタンドの倒産件数が2019年通年を上回る
2020年1-10月 「ガソリンスタンド」の倒産状況
新型コロナウイルス感染拡大が、苦境のガソリンスタンドの経営に追い打ちをかけている。 2020年1-10月のガソリンスタンドの倒産(負債1000万円以上)は21件(前年同期比23.5%増)と前年同期を上回り、2019年通年の19件も超えた。 人口減少や乗用車保有率の減少に加え、エコカーの普及、高齢化による運転者の減少などで、社会インフラの役目を果たすガソリンスタンドは厳しい環境にある。さらに今年は、コロナ禍で外出や遠出の自粛も広まり、ガソリン需要が一段と落ち込んでいる。 ガソリンスタンドは、ガソリン販売だけでなく、冬場の灯油や『子供110番』など、地域経済のライフラインとして生活に欠かせない存在感を持つ。昨今は、後継者問題も抱えて、石油元売りが主導した統廃合も進んでいる。ガソリンスタンドの倒産や休廃業・解散は、ガソリンスタンド過疎地の問題として知られるようになったが、抜本的な解決策は見出せないのが実情だ。
◇2020年1-10月末時点で、2019年通年の件数を上回る 2020年1-10月のガソリンスタンドの倒産は21件(前年同期比23.5%増、前年同期17件)で、すでに2019年通年の件数を上回った。負債総額は37億9,500万円(同107.7%増、同18億2700万円)と、2倍増に膨らんだ。負債10億円以上の大型倒産はゼロ(前年同期ゼロ)だったが、同1億円以上5億円未満が15件(前年同期比66.6%増、前年同期9件)と増加し、負債総額を押し上げた。
◇原因別、販売不振が最多 原因別では、「販売不振」が17件(前年同期15件)と全体の80.9%を占めた。形態別では、破産が16件(前年同期比23.0%増、前年同期13件)で全体の76.1%を占めたのに対して、再建型の会社更生法や民事再生法は各ゼロ(前年同期各ゼロ)で、経営再建が難しいことを示している。
◇地区別、9地区のうち、7地区で倒産発生 地区別では、全国9地区のうち、北陸と九州を除く7地区で倒産が発生した。最多は東北(前年同期3件)と関東(同4件)の各5件。次いで、中部4件(同3件)、近畿3件(同2件)と続く。