危機感を結果に変えた才気あふれるナンバー10。流通経済大柏高校・柚木創はピッチにファンタジーの魔法をかけ続ける 【NEXT TEENS FILE.】
21分。左サイドで獲得したCK。柚木が丁寧に蹴り込んだキックに、飛び込んだキャプテンの奈須琉世が合わせたヘディングが、鮮やかにゴールネットを揺らす。「昌平がどういう守備でゴール前を固めてくるかは、ゴールキーパー陣を含めて分析していて、どういう形だったら点が入るかというのも奈須と話し合いながら、動き方も工夫してあの得点が獲れたので、凄く良かったなと思っています」と柚木が話せば、「柚木が良いボールを上げてくれたので感謝したいです。昨日考えた形がドンピシャで決まりました」と奈須も手応え十分。早くも点差が2点に広がる。
ただ、以降も流通経済大柏は再三に渡って追加点のチャンスを掴みながら、3点目が遠い。「次の1点をどっちが獲るかが重要ということはハーフタイムに全体で話をしていたので、自分も含めて前の選手が外した責任は取らないといけないと思っていました」。上昇気流に乗り始めているチームの中で、久々に勝ち獲ったスタメンの機会。前半だけで3度はあった好機をことごとく外していた柚木は、改めて自分へプレッシャーを突き付け直して、後半のピッチへ向かう。
その時がやってきたのは64分。ショートカウンターから中央を運んだ飯浜空風がスルーパスを送ると、10番は巧みなコントロールでラインの裏へ抜け出す。GKと1対1のシチュエーションにも、躊躇なく左足一閃。ボールは豪快にゴールネットへ突き刺さる。
「ああいう受け方をして、コントロールして、キーパーと1対1という練習もしてきていたので、練習の成果がちゃんと出たようなゴールでしたし、今までプレミアで決めてきた中でも上位に来るような良いゴールだったのかなと思います」。ガッツポーズにも思わず力がこもる。ファイナルスコアは3-0。快勝を収めた90分の中で、1ゴール1アシストを記録した柚木の躍動が、一際眩い輝きを放った。
シーズン前半戦の流通経済大柏はプレミア開幕から7戦負けなしと好調をキープ。小さくない自信を付けていったものの、インターハイ予選決勝で市立船橋高校に敗れ、夏の全国出場を取り逃がすと、そこからリーグ戦でも思うような結果を残せず、苦しい時期を強いられた。
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