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アベノミクス検証<後編> 企業に優しく個人に厳しく?

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THE PAGE

 安倍政権の経済政策であるアベノミクスは、大企業の利益が3倍になり、日経平均株価も2.5倍に上昇するなど、企業活動や株式市場という部分では極めて大きな成果を上げました。しかし、企業が大きな利益を上げる一方、多くの国民の生活が苦しくなったのも事実です。

 アベノミクスがスタートして以降、労働者が受け取る実質賃金は下落の一途をたどっています。2015年の賃金を100とした場合、アベノミクスがスタートした2012年には104.5となっていましたが、2019年には99.9と100を切っています。これはコロナ危機が始まる前ですから、コロナを入れてしまうとさらに数字は下がります。  実質賃金が下がってしまった最大の原因は円安による輸入価格の上昇です。前編では量的緩和策の効果で円安が進んだと説明しましたが、円安になると輸入品の価格が上昇します。日本人が日頃消費しているモノのほとんどは輸入品ですから、円安になると物価が上がってしまいます(価格を変更せず、内容量を減らすといういわゆるステルス値上げも、形を変えた値上げであることに変わりはありません)。  賃金の上昇分よりも物価上昇分の方が大きいと、消費者が実際に消費できる金額は減ってしまいます。アベノミクスによって企業の業績は拡大しましたが、あくまでも円安による見かけ上のものですので、企業は慎重姿勢を崩さず、労働者の賃金を抑制しました。結果として物価上昇によって多くの国民の生活は苦しくなってしまったのです。  政府はアベノミクスで雇用が増えたと喧伝していますが、これも厳密にはアベノミクスの結果ではありません。確かに安倍政権の期間中、失業率は減り、就業者数も増加しましたが、これは少子高齢化によって現場の労働力が極端に不足し、労働者の奪い合いになったことが最大の理由です。本当に景気が拡大して人手不足が発生した場合、賃金が上昇するはずですが、賃金が上がっていないことから、これは景気拡大による失業率の低下ではないことが分かります。  一方で、量的緩和策の効果で株価は上がりましたから、株式投資や不動産投資をしている人の資産は大きく拡大しました。しかしながら、株式投資や不動産投資を行っているのは基本的に富裕層ですから、中間層以下との格差は拡大したと考えた方がよいでしょう。アベノミクスは企業や市場には優しい政策でしたが、個人には厳しい政策だったということになります。 (The Capital Tribune Japan)

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