ロシアの新たな「核政策」は第三次世界大戦へのカウントダウンを意味している
11月17日、バイデン大統領がウクライナに対し、ロシア領内への攻撃に、米国が供与した長距離ミサイルを使うことを許可したと報じられた。さらに現地時間の19日には、対人地雷をウクライナに供与することを承認したことも報じられている。 一発の核兵器発射で何が起こるか─答えを「知っている人」が語る絶望のシナリオ
さっそく使われたミサイル
使用制限が緩和されたのは、ロッキード・マーティン社製のATACMS(アタック・エムズ)ミサイルだ。ウクライナが持つ他のミサイルよりも長距離を飛ぶが、巡航ミサイルや大陸間弾道ミサイルほどではない。 使用許可が下りてから2日後、ウクライナはATACMSミサイルを6発使い、ロシア西部ブリャンスク州カラチェフの弾薬保管庫を攻撃した。ミサイルのうち5発が撃墜され、1発が損傷。死傷者の報告はない。 米紙「ニューヨーク・タイムズ」によれば、バイデン政権はこの動きによって戦局が変わるとは考えていない。 ただし「ミサイルがなければ手が届かない標的にウクライナの手が届くようになること、そして米国は北朝鮮に対し、戦争に関与することは多大な代償を払うことになるというメッセージを送ることができる」というメリットをとることに決めたという。
核兵器使用のハードルを下げたロシア
米国がロシア国内へのミサイル攻撃を許可した2日後、ウクライナが実際にATACMSを使ったタイミングで、ロシアのプーチン大統領は核ドクトリンの改定を承認した。これにより、核兵器は使用しやすくなる。 米メディア「ポリティコ」によれば、ロシアは「核保有国の支援を受けている非核保有国からの攻撃を、共同攻撃とみなす」と規定した。また、ロシアの主権を脅かす通常兵器による攻撃に対しては、核兵器で報復することも可能となった。 つまり、ウクライナに武器を供与するなどして支援したNATO加盟国に対する報復を、正当化しやすくなったということだ。ロシア前大統領のメドベージェフ安全保障会議副議長は、Xへ次のように投稿している。 「ロシアの新たな核政策が意味するのは、NATO(加盟国が供与した)のミサイルがロシアへ発射された場合、それはNATOによるロシアへの攻撃とみなされる可能性がある、ということだ。キーウだろうとNATOだろうと、WMD(大量破壊兵器)で報復する可能性がある。これが意味するのは、第三次世界大戦だ」