体操界に次々と出てきた10代メダル候補
野々村、加藤だけではない。予選3位、決勝7位と存在感を示したのは、神本(かもと)雄也(日体大2年)だ。神本は2010年にシンガポールで開催された第1回ユース五輪の男子個人総合金メダリスト。昨年のインカレでは野々村に続く2位になっている。得意種目は平行棒。昨年の世界選手権種目別平行棒金メダリストの内村を上回るD得点6・9の演技構成を持ち、「世界選手権には種目別平行棒での出場を目指している」と言う。 この神本について内村は、「小学生の時からジュニアの強化選手で一緒に合宿などをし、よく知っている間柄。小さい時から基本がよく出来ており、それがそのまま強くなって大学生になったんだという感じ」と言い、「若い選手は皆脅威です」と警戒心を見せた。野々村は「僕らの世代がどんどん頑張っていかないといけない。いつまでも年上の人たちに頼っているわけにはいかない。そういう意味では僕や凌平、雄也、武田さん(一志=日体大4年、今回4位)など皆で切磋琢磨していけば日本はもっと強くなっていくと思う」と力を込める。 世界選手権の代表枠は6人。既に4月の体操W杯で優勝した内村が代表に内定しており、残りは5人。全日本の得点の半分と6月のNHK杯の得点を足した上位2人を個人総合の選手として選ぶ。さらに残り3人は、7月の全日本種目別選手権の各種目優勝者の中から、条件をクリアした選手が選ばれる。 今回の全日本選手権決勝では、大学生のみならず、高校生の姿も目立った。白井に刺激を受け、勢いを増しているのだろう。全日本個人総合で13位と健闘した千葉健太(清風高3年)、さらには萱和磨(習志野高3年)、谷川航(市立船橋高3年)ら逸材が目白押しだ。代表争いがますます激しくなっていくであろう体操界に注目だ。 (文責・矢内由美子/スポーツライター)