「チェーン店の方が居心地がいい説」は本当?玉袋筋太郎が語る町中華にしかない“旨み成分”
店の佇まい、味、店主…すべて町中華の「旨み成分」
――「味のファン」から「店のファン」になっていくんですね。 玉袋:その通りだよ。店のファンになるのって面白くてさ、町中華の佇まいとか、面白いじゃん。なんでショーケースの中に入っているモンチッチがこんなに日焼けしてんのよ、とか。よくわからない沖縄土産も置いてあったりするのよ。日に焼けた食品サンプルの近くにアンパンマンの人形が置いてあったりもする。そうするとそこからプロファイリングが始まるわけ。「創業40年の老夫婦がやっているお店だからきっと孫がいるんだな」とかさ。そうやって逆算して店を見られる楽しみがあるよ。 ――なるほど。 玉袋:店の佇まい、味、ご主人のファンになることだってあるしさ。そのひとつ先に進むと、必ず店にいる常連のオヤジに出会うよね。ああいう人たちをずっと見てたりするのも面白いじゃん。40歳くらいの夫婦がやっている店だと、そこには息子・娘がうろうろしていたりもする。通うことでその成長を一緒に見守れるっていうね。そういうのがすべて町中華の「旨み成分」になっているのよ。 ――物語が更新されていくのをリアルタイムで見届けられるってことですね。 玉袋:そうそう。それは楽しいよ。
通いながら自分も一緒に成長していく
――番組ではお客さんや店員さんとの触れ合いが魅力的に描かれています。そういったことが全国の町中華で起きていると。 玉袋:もちろん味が一番だと思うんだけど、俺はどうしてもそうじゃないところから入っちゃうんだよ。でもそれって面白いわけ。俺のばあちゃんなんかもそんな性格だから、どこの店に行っても、思い出になるように、箸袋を持って帰ってきていたんだよ。なんてことはないんだけど、そういうのが積み重なるだけで、その道のコレクターになれるわけじゃん。なんかそういう人生もいいじゃない。 例えばさ、『孤独のグルメ』の井之頭五郎も店に入ったら勝手に物語を感じ取ったりする。そんなふうに視点を変えれば、いくらでも女性読者の皆さんもストーリーを楽しめるわけ。別に俺にレクチャーされることなんて何もないと思うけど、そういう部分がやっぱり面白いんだよね。 ――なるほど。 玉袋:自分も通っている内に歳を重ねていくからね。いつの日か、“そんなに食えなくなっちゃったなー”なんて思う日が来る。町中華では餃子がだいたい6個出てくるんだけど、若い頃は簡単に食えるよ。でも今の俺は「旨そー!」なんて言うけど、同時に“食べられないわ!”って心の中で思うわけ。女性読者の皆さんは「シワやシミができるのが嫌だ」なんて言うんだろうけど、俺はシミができて、シワが増えていくほうが良いなって思うよ。そんなふうに自分も一緒に成長していったほうが面白いじゃん。