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《ブラジル》【特別寄稿】モーリタニアを救った日本人=タコ漁を教えた中村正明さん=サンパウロ市在住 酒本恵三

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ニッケイ新聞

 アフリカを貧困から救った一人の日本人――。モーリタニアという国を知っていますか。アフリカ北西部に位置するモーリタニアは、人口はおよそ300万人。国土の9割は砂漠で覆われており、砂漠と大西洋に沈む夕日を楽しめます。  平均月収はおよそ2万ウギア、円に換算すると7千円弱です。2011年のある日の事です。モーリタニアにある日本大使館に、ひとりの男性がやってきました。「日本に、これを…」。  彼が差し出したのは、お金。それは東日本大震災への寄付金でした。全額は5千ウギア。日本円だと1700円。しかし、彼にとっては月収の4分の1にも当たる大金でした。職員が「あなたのお名前は?」と聞くと、「私は日本の友人です」というのです。  その後も多くの国民が寄付をするために日本大使館を訪れました。その誰しもが「日本人への恩返し」と口にしました。寄付金は総額4570万円にものぼりました。なぜ遠く離れた日本のために、彼らはそこまでしてくれたのでしょうか。

 そこには、モーリタニアと日本の深い絆が隠されています。  1960年、アフリカの植民地が相次いで独立、アフリカの年とも呼ばれています。他の国と同じくモーリタニアもフランスから独立を果たしましたが、国を支える主な産業がないため、国民は貧困に苦しんでいました。  この独立間もない国に救いの手を差し伸べたのが、当時の日本政府でした。水産庁、外務省が全面的に協力して、モーリタニアの漁業を振興してほしいと、一命を受けたのが、中村正明さんでした。  「中村君、申し訳ないがモーリタニアに行ってくれないか?」「モーリタニア…ですか?」。JICA及び海外漁業協力財団から派遣されて、世界各地で漁業指導を行っていた中村がその国に足を踏み入れたのは26歳の時でした。  当時のモーリタニアは、大西洋に面しているのにも関わらず、漁業という産業が存在しませんでした。主食は羊やラクダなどの肉。魚介類を食べる習慣がなかったのです。人々の貧困生活を目のあたりにした中村は、日本の漁業技術を教え、国を豊かにしょうと考えました。

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