還暦60代が安心するためにはいくら貯蓄が必要か
老後のお金について不安に思われている方も多いと思います。では実際、どの程度のお金が必要になるのでしょうか。この記事では、還暦60代の人が安心できる貯蓄額について解説します。
老後に必要な生活費
令和元年度の生命保険文化センターがおこなった調査によると、夫婦2人で老後生活を送る上で必要な最低日常生活費は、月額で平均22.1万円。また、ゆとりのある老後を送るための費用として、最低日常生活費以外に必要な金額は平均14.0万円となっています。 つまり、ゆとりある老後を過ごしたいと考えるときに必要な金額は、平均36.1万円(22.1+14.0)万円になるのです。 「ゆとりある生活」のための上乗せ額の使途としては、以下のようなものがあります。 ・旅行やレジャー ・趣味や教養 ・日常生活費の充実 また、平成30年(2018年)の簡易生命表によると、日本人の平均寿命は、男性が81.25歳、女性が87.32歳です。 仮に65歳で退職したあと85歳まで生きるとして、最低日常費を出すと5304万円となります。 また、ゆとりのある生活を送るために必要な金額は以下の通りとなります。 36.1万円×12カ月×20年=8664万円 ゆとりのある老後を送るためには、8664万円のお金が必要になることがわかります。 もっとも、老後のすべての期間を「ゆとりある生活」を送る必要もないですし、そのケースばかりではないので、必ずしもこうした大きな金額が必要という話にはなりませんが、計算上は算出できるというのは知っておいてもよいでしょう。
老後の収入にあてられる年金と退職金
老後の収入には、主に年金と退職金があります。 まず、年金はどの程度受け取れるのでしょうか。平成30年度・厚生年金保険・国民年金事業の概況(厚生労働省年金局)によると、年金の平均受給額(月額)は以下の通りです。 ・会社員や公務員など(国民年金+厚生年金) 14万3761円 ・自営業や専業主婦(国民年金のみ) 5万4614円 ※ただし、国民年金については、基礎のみ共済なし・旧国年の受給者。 男性を元会社員、女性を専業主婦と仮定した場合の夫婦2人の年金収入は、以下の通りです。 ・夫婦2人の年金収入(月額) 14万3761円+5万4614円=19万8375円 老後20年間で受け取れる年金額は、以下の金額になります。 19万8375円×12カ月×20年=4761万円 次に、退職金はいくらもらえるのでしょうか。厚生労働省の就労条件総合調査(平成30年)に よると、勤続20年以上かつ45歳以上の退職者の大卒・大学院卒の退職金平均は1983万円です。 そして、年金と退職金を合わせた収入は、以下の通りです。 4761万円+1983万円=6744万円 そして、ゆとりある老後生活を送るためには8664万円が必要でしたので、不足額は以下のようになります。 8664万円-6744万円=1920万円 仮に上記の前提に立てば、1920万円の貯蓄があれば、ゆとりのある老後生活をおくれるという計算になります。