なぜ森保監督は賛否起きる久保建英を招集したのか?
記者会見の冒頭で、森保監督は「キリンチャレンジカップでパラグアイを迎える鹿島でいい準備をして、ミャンマーでワールドカップへのいいスタートを切りたい」と9月シリーズへの意気込みを語っている。2次予選を勝ち抜けば、息つく間もなく来年9月からは3次予選が始まる。2021年10月まで3次予選を戦う間は、強豪国相手に国際親善試合を組める日程的な余裕がほとんどない。 現状では国際Aマッチは3、6、9、10、11月と年間5度の期間に、最大で10試合しか組めない。今後2年間はほぼすべてがアジア予選で埋まるだけに、森保監督には予選を勝ち抜きながら、なおかつ3年後のワールドカップの舞台で戦えるチームを作り上げていくタスクが求められる。 カタールへの第一歩が敵地でのミャンマー戦となるからこそ、森保監督は現状におけるベストのメンバーを招集した。今回の顔ぶれ、イコール、カタールへ向けた所信表明となることは、指揮官が会見の最後に発した言葉からもひしひしと伝わってくる。 「やりたいことはいっぱいあります。ただ、一番に考えているのは積み重ねてきたベースをチームとして常に確認しながら、土台を大きく、そして厚くしていくこと。システムなどを練習する機会も限られているので、相手をリスペクトしながら、試合のなかでチャレンジしていきたい」 招集された23人のうち、ヨーロッパ組は歴代最多となる19人を数えた。同時に発表された東京五輪世代となるU-22日本代表の北中米遠征メンバー22人のなかにも、MF安部裕葵(FCバルセロナ)とFW前田大然(CSマリティモ)のヨーロッパ組が名前を連ねている。 日本が極東に位置する以上、公式戦や国際親善試合が国内で開催される場合の長距離移動や時差などは避けて通れない。日本代表に選ばれし者だけが乗り越えていく宿命と言っていい。実力でその仲間入りを果たした久保へ、森保監督はエールにも聞こえる、今シリーズにおける要求を口にしている。 「日本のために自分のもっているものをすべて出し切るということと、彼自身がもっともっと成長するためにギラギラしているものを、チームが活動するなかで見せてほしい」 久保は敵地で現地時間9月1日に行われる、バレンシアCF戦でのラ・リーガ1部デビューへ向けて懸命にアピールしている。そして、モードを代表に切り替えてミャンマー戦のピッチに立てば、1982年のスペインワールドカップ予選に出場した風間八宏(現名古屋グランパス監督)がもつ19歳67日を大幅に塗り替える、18歳98日のワールドカップ予選における日本人最年少出場記録が生まれる。 (文責・藤江直人/スポーツライター)