【社説】口だけの「国民の目線」、特検法またも廃案にした韓国与党とハン代表
「キム・ゴンヒ特検法案」と「C上等兵特検法案」が4日、国会での再議決の末に否決され、自動的に廃案となった。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が拒否権を行使してから2日後だ。キム・ゴンヒ特検法は2度目、C上等兵特検法は3度目だ。 両特検法案はいずれも国民の大多数が賛成しており、毎回国会議員の多数の賛成で本会議で可決されている。しかし、自身と妻の犯罪疑惑に対する特検捜査を源から封鎖するための尹大統領の拒否権乱用に、立法は毎回阻まれている。大波のような民意をないがしろにし、公共のために使うべき大統領の権限を私的に用いる為政者の態度には、多くの国民が情けない思いをし、憤りを感じるだろう。 政権与党も国民の怒りは避けて通れない。拒否権が行使された法案を確定するには、出席議員の3分の2以上の賛成が必要だ。この日、両特検法に対する賛成は300人の出席議員中194人にとどまった。国民の力の108人の議員のうち104人は反対票を投じ、賛成したのは2人だけだったとみられる。2票の無効・棄権を含め、造反票は4票と推定される。わずかな亀裂が感じられるが、全体としては龍山(ヨンサン)の顔色うかがいに徹する与党の現在地を赤裸々に示している。数々の違法疑惑が持たれる尹大統領夫妻をかばい立てしたことで類例のない総選挙惨敗を経験しても、何も学ばなかったのか。 わずか2カ月あまり前の党大会で「国民の目線」を強調して当選したハン・ドンフン代表が再議決の過程で見せたダブルスタンダード的態度は、とりわけ大きな失望を誘う。彼はこの日、再議決前に開かれた議員総会で、「キム・ゴンヒ特検法」について「国民の目線に合う解決策が必要だという党内外の多くの方々の考えは知っている」としながらも、「可決されると司法システムが崩壊する」として反対への投票を求めた。このような言い訳が国民にも通じると思うのか。特検法が可決されると司法システムが崩壊するとは。では、国民が司法システムの崩壊を望んでいるというのか。「法の下の平等」を破壊して韓国の司法システムを崩壊させている張本人が誰なのかが、本当に分からないのか。 尹大統領は、「キム女史による謝罪」提案くらいがせいぜいのハン代表の単独面談要請さえ頑強に拒否した。キム女史問題を司法的に解消し、正義を取り戻せという国民の要求はことごとく無視している。にもかかわらず、ハン代表は国民の側に立つのではなく、詭弁(きべん)を弄して「キム・ゴンヒ防衛」の先頭に立っている。 またも挫折したものの、両特検の実現という国民の願いまで廃案にすることはできない。拒否権で民意を封じ込めようとし続ければ、手に負えない逆風と抵抗が現政権に襲いかかるだろう。 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )