救いは「きちんと有休が取れることぐらい」…上限3年で雇い止めに遭う「非正規公務員」の苦難
ハローワークの相談員が毎年「雇い止め」に怯える年度末
全国の自治体で働く非正規の地方公務員「会計年度任用職員」の多くが、今年の3月末に「雇い止め」に遭った可能性がある。任用制度が’20年4月に導入され、総務省がマニュアルに「非正規の再任用は原則2回まで」との方針を示したため、雇用期間の上限を3年に設定した自治体が少なくないからだ。 【衝撃】「自分は上級国民」年収470万円の30歳公務員がハマった勘違い たとえば、北海道新聞によると3月末に任用期間の満了を迎えた札幌市の会計年度任用職員は1000人余り。他の道内主要都市とあわせると、推計で4000人を超えるとされる。 公務非正規女性全国ネットワーク「はむねっと」は地方自治体で何が起きたのか実態を知ろうと、全国の会計年度任用職員を対象にアンケートを実施。6月18日までに500件を超える回答を得たという。 ただ、全国の自治体でどれだけの会計年度任用職員が雇い止めに遭ったかは不明であり、当事者の声もなかなか聞こえてこない。 「会計年度任用職員の任期は1年で、契約が更新されるかは自治体次第です。この先も雇い止めの不安がつきまとう状況にあるような方が、当事者として声を上げるのは難しいのではないでしょうか」 そう話すのは、労働者の側に立って労働問題に取り組む平井康太弁護士だ。日本労働弁護団が今年の1月からオンライン署名サイトで「STOP 非正規公務員の雇止め」を掲げて署名活動を展開しているが、平井弁護士は弁護団の事務局次長でもある。 弁護団は署名活動とあわせ、2月に「STOP 非正規~」と題して集会を開催。その様子をYouTubeで公開している。 「集会では、非正規公務員の方々にオンラインで実情を語っていただきました。ただし、個人や職場が特定されないように、匿名や音声のみといった方法で発言しています」 非正規での勤務が10年以上というハローワークの女性相談員は、弁護団主催の集会でこう語っている。 《職場は8割ほどが非正規相談員で、残りの2割が正規の職員です。 毎年、年が明けると当たり前のように次年度の定員数が発表され、誰が雇い止めになり誰が契約更新されるか決まっていきます。4月1日にならないと誰が雇い止めになったかははっきりとわかりませんが、今年も人が減らされることになりました。 現場にそれが言い渡された日は、雇い止めになった人のすぐ横で契約更新された人たちが喜び合う声が聞こえてきます。とても残酷で、毎年その場面を目の当たりにすることが本当に辛く、やるせなくて涙が出てきます》(集会の発言者) 平井弁護士は言う。 「ハローワークで働く非正規の方たちは、市民に良質な仕事を紹介する役割を担っていながら、ご自身の職が非常に不安定です。あまりに理不尽な話だと思います」