ECB理事会後のラガルド総裁発言要旨
[フランクフルト 12日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は12日、インフレと経済成長の鈍化を受けて0.25%の追加利下げに踏み切った。6月に続き主要政策金利の中銀預金金利を3.75%から3.50%に引き下げたが、決定は会合ごとに実施し特定の道筋に事前にコミットしないとのガイダンスを維持した。 理事会後のラガルド総裁の記者会見での発言は以下の通り。 <決定は全快一致> 預金金利を0.25%ポイント引き下げると、全会一致で決定した。 <景気回復は強まる> 実質所得の増加により家計の一段の消費が可能になるため、景気回復は時間の経過とともに強まると予想している。制約的な金融政策の影響は徐々に薄れ、消費と投資が下支えされる。 <今後の政策決定> 引き続きデータに依存し、会合ごとにアプローチしていく。特定の金利の道筋をあらかじめ確約することはしない。 <資金調達環境> 資金調達環境はなお制約だ。民間消費と投資の低迷を反映し、経済活動は依然として低迷している。 <インフレ見通し> インフレ率は今年後半に再び上昇すると予想される。その後、インフレ率は来年後半にかけて目標に向かって低下していく。 <ドイツ経済の減速> ドイツ経済の減速は独連邦銀行(中銀)だけでなくECBも当然予想していたもので、ユーロシステム全体で共有され、われわれの予測にも織り込まれている。 <ウニクレディトによるコメルツ銀行株式取得を受けた、国境を越えたM&A(合併・買収)> 個別の機関についてのコメントは控える。ウニクレディトとコメルツ銀の当局者は、規制要件を完全に認識し遵守すると確信している。 <サービスインフレ> サービスインフレは明らかに、極めて注意深い理解と監視を必要とする価格の構成要素である。 <中立金利> ECBスタッフが自然利子率(Rスター)に関する非常に優れた論文を発表しており、Rスターが以前より若干高いことが示唆されているが、私はこれを支持するつもりはない。 <利下げの道筋> われわれの道筋の方向性は明確で、利下げに向かっているが、それが連続したものになるか、どれくらいの幅になるかは決まっていない。 <インフレ見通し> インフレ見通しに関する9月の予測は、6月と比べて実質的に変わっていない。2025年末までに2%に回帰するとみている。 <ドラギ氏報告書> ドラギ氏の欧州連合(EU)の競争力向上に関する報告書と、レッタ伊元首相の単一市場の強化に関する報告書は、改革の緊急性を浮き彫りにし、この実現に向けた具体的な提案を示している。 <労働コスト> 一部の国において一時金が重要な役割を果たし、賃金調整が段階的に行われるため、妥結賃金上昇率は年内は高水準で変動しやすい状態が続くだろう。労働コストの全体的な伸びは緩やかになっている。