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アポロ8号乗組員が撮影した「地球の出」は、どう世界を変えたのか?

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The Guardian

【記者:Ian Sample】  地球を探すように、との指令を受けていたわけではない。アポロ8号(Apollo 8)は1968年のクリスマスイブ、人類で初めて、月の周回軌道に到達した。  アポロ8号が月の軌道に滑り込んだ時、乗組員たちは、テレビ中継で世界の人々に「創世記(Genesis)」の一節を読み上げるための準備をしていた。だが司令船が月周回飛行の4周目に入った時、窓の向こうでそれが見えた。月の無機質な灰色の地表の向こう、暗黒の宇宙の中に、青と白の宝石が光り輝いているのを。  今から50年前にその瞬間が訪れるまでは、誰も「地球の出」を見たことがなかった。その光景を目にした瞬間、同ミッションで写真撮影を任されていたビル・アンダース(Bill Anders)氏は、慌ててカメラを手にした。アンダース氏は、ハッセルブラッド(Hasselblad)製のカメラに70ミリのカラーフィルムを押し込み、ピントを無限遠に合わせ、望遠レンズで撮影を始めた。  アンダース氏が捉えたものは、史上最も人類に影響を与えた画像の一つとなった。環境保護運動の推進力となったこの写真は、「地球の出」として知られるようになり、この世界がたった一つのはかないオアシスであることを見せつけた。  アポロ8号は、1968年12月21日に米フロリダ州ケネディー宇宙センター(Kennedy Space Center)から打ち上げられた。乗船したアンダース、フランク・ボーマン(Frank Borman)、ジェームズ・ラベル(James Lovell)の3宇宙飛行士は、地球の軌道を2周した後、月の軌道へと向かった。そのおよそ3日後、月の周回軌道に到達。10周した後、地球に帰還した。 「地球の出」は、すぐに人々に衝撃を与えたわけではなかった。その画像は、切手の図柄に採用されたり、米誌タイム(Time)やライフ(Life)などで時代を象徴する画像だと取り上げられたりはしたが、それ以後、その哲学的な意味は何年もの間、埋もれたままだった。アンダース氏は、「それ(写真)は、象徴的な地位を得た」「私たちはこのはかない地球の上で暮らしており、それを守る必要があるということに人々は気付いた」と語る。  この画像は、環境保護運動を促進しただけではなかった。自身を「第一級の冷戦戦闘員」と呼ぶアンダース氏も、それが人類に向けたメッセージをはらんでいると感じたという。「ここは、私たちが持つ唯一の家だ。それなのに私たちは、互いを撃ち合ったり、核戦争の脅威を高めたり、自爆ベストを着たりすることに明け暮れている」「あきれたものだ」  この画像は、アンダース氏個人の人生をも変えたという。「あれは、私の信仰心をばっさりと切り落とした。物事は法王を中心に回っていて、空では大きなスーパーコンピューターが、ビリー(アンダース氏のこと)は昨日、いい子だったかなと見張っているだって? そんなわけがない。私は、(無神論者で知られる)科学者リチャード・ドーキンス(Richard Dawkins)氏の仲間になったのだ」【翻訳編集:AFPBB News】 「ガーディアン」とは: 1821年創刊。デーリー・テレグラフ、タイムズなどと並ぶ英国を代表する高級朝刊紙。2014年ピュリツァー賞の公益部門金賞を受賞。

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