日本一の瞬間「亡くなった女房が降りてきて…」DeNA初代監督・中畑清が日本シリーズ解説で涙したわけ「こんな景色が見られるときが来たんだと」
松井の振る舞いを筒香に学んでほしくて
――中畑さんは2015年シーズン、キャプテンに指名しています。本人の成長を促す意味があった、と以前にうかがいました。 中畑 口下手で、(リーダーシップを発揮するのは)苦手なことだったかもしれない。「僕はキャプテンできません」って言っていたくらいだったから。ならば背中で引っ張るキャプテンになればいい。キャプテンをやることで人間的にも成長したよね。2015年の春季キャンプに、日本を代表する四番バッターになるための自覚とか立ち振る舞いを学んでほしいと思って、ゴジラ(松井秀喜)に来てもらった。何を学べたかと本人に聞いたら「存在感、オーラが違います」と返してきて、いいところに気がついてくれたなって。傷だらけのローラじゃないよ、オーラだよ(笑)。 今回、勝ちたい気持ちっていうのは誰よりも強かったはず。勝てないチームにずっといて、その喜びを感じることなくアメリカに渡って、悔しい気持ちを抱いて日本に帰ってきて。チームへの思いも強いなかで、人間的に成長したアイツがああやって日本シリーズの流れのど真ん中に立って活躍できたっていうのは嬉しいことだよ。 ――2連敗からスタートして敵地で3連勝。王手を掛けてハマスタに戻ってくるシナリオはどうでしたか? 中畑 いや、考えられないよ。みんなそう思っていたでしょ。2試合終わって、ソフトバンクは日本シリーズ14連勝なんだから。もう要塞だよ。それが第3戦、東(克樹)が10安打されながらも1失点に抑えてみんなで牙城を崩したわけよ。粘って、あきらめることなく戦って。俺がベイスターズで目指した野球がそこにはあったね。15連勝を阻んだことでチームが変わった。 やっぱり素晴らしかったのは、三浦(大輔)監督の采配でしょ。ピッチャー交代のタイミングは完璧だったし、調子の良い選手を優先する起用法もズバリ当たったよね。大輔自身も開き直れたんじゃない? シーズン中はどこか重たい空気を感じたけど、CSやこの日本シリーズは動くべきところは積極的に動いて、選手たちを“あきらめないぞ”“行けるぞ”という雰囲気に持っていったからね。表情も違っていたよ。 チーム全体で戦うという空気をつくりだして、その緊張感を持続させるのは難しい。勝ち試合をつくらないと、そういうものは出てこないから。今回のベイスターズはそれができていたよね。
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