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日本学術会議問題~会員候補6人が選ばれなかった「複雑な理由」

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ニッポン放送

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月12日放送)に慶應義塾大学教授・国際政治学者の細谷雄一が出演。日本学術会議の会員候補6名が任命されなかった報道について解説した。

日本学術会議、予算や機構など見直し検討へ

日本学術会議の会員候補6人が任命されなかったことを受け、自民党は会議のあり方を検討し直す必要があるとして、作業チームを新たに設けて議論を始めることにしている。また、河野行政改革担当大臣は自民党からの要請を踏まえて、政府の事業全般の検証のなかで、会議の予算や機構について検討して行く考えを示した。 飯田)年間で10億円の公費が入っていることや、活動の内容などについても検討するということです。一方で、「学問の自由が」という批判もあります。最初にこのニュースを見たときは、どうご覧になりましたか?

選ばれなかったのは「何が問題だったのか」が見えない

細谷)多くの方々がこのニュースを見たときに、「何が問題なのか」が見えにくかっただろうと思います。政府は……この場合は菅総理ということですが、6人の候補を任命しなかった。しかし、その理由がよくわからない。「総合的、俯瞰的に見て、この6人に何か問題があったのだろうか」ということが、多くの方々が疑問に感じたことだと思います。特に、いままでの上の世代の方々とは違って、例えば、私の専門に近い方であれば、宇野重規さん、それから加藤陽子さんという、政治学と歴史学で非常に有名で、活躍もしていて、バランスの取れた方々です。この2人が外されたということに対する反発が、私の周りでは非常に強くありました。総理も「個々の研究者の方々の業績によって排除したわけではない」とおっしゃっていましたが、だとすれば、「何が問題だったのか」というところが見えないわけです。

「軍事的安全保障研究に関する声明」の「戦争に協力するような科学研究を行ってはいけない」という内容~軍事目的の範囲がわからない

細谷)政府がなぜこのような判断をしたのか。政府がこの問題に対して明確に説明していないので、あくまでこれは私の推測ということになりますが、最も大きいのが2017年に日本学術会議が出した「軍事的安全保障研究に関する声明」のなかで、日本の大学、研究機関が軍事的安全保障研究を行う場合に、厳しい制約を課す、審査をするということです。2015年に防衛省、防衛装備庁が、「安全保障技術研究推進制度」というものをつくりました。 飯田)はい。 細谷)防衛省のさまざまな開発に関して、自分たちだけでは対応できないので、大学や企業に協力して欲しいというものですが、サイバー攻撃や宇宙など、とても防衛省だけでは研究が進まない。宇宙の研究や、サイバーの研究、AIというものは、防衛省のなかでやるのではなくて、最先端の研究をしている大学や研究機関にやって欲しいということです。ところが、この制度を用いようとしたいくつかの大学が応募したら、「これを受け取るな」と上から圧力をかけられた。どういうことかと言うと、2017年の日本学術会議の「軍事的安全保障研究に関する声明」つまりは、「戦争に協力するような科学研究を行ってはいけない」という内容です。もともとは1950年にできたものです。科学者が戦争に協力してはいけないということです。これはまだ理解可能なのですが、1967年にこれがさらに広がり、「軍事目的のための科学研究は行わない」ということになりました。「軍事目的とはいったい何か」ということになり、例えば、軍事史とか戦争研究は軍事目的になるのかなど、軍事目的の範囲がよくわからないのです。

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