人生“2度目”のドラフトから即出場 母国に戻って活躍の元西武31歳「挑戦者の気持ち」
「縁があって台鋼ホークスと、とてもスムーズに契約することができました」
10月22日には、充実感をもって秋季キャンプ第1クールを終えたと報告。完全復帰へ向けて着実に歩みを進めているようだ。以下のインタビューは8月末、負傷離脱の直前、シーズン中に行ったもの。約2か月前の内容となってしまったが、日本のファンに向け貴重な話をたくさんしてくれた呉念庭の声を、お届けする。 ――ドラフト1位指名翌日にスピード契約。どのようにお感じになりましたか。 「縁があって、台鋼ホークスと、とてもスムーズに契約することができました。ドラフト前から始球式に呼ばれたり、大きな期待は伝わってきていましたが、そこをプレッシャーと感じず、少しでも早くチームに溶け込んで、勝利に貢献することが1番だと思っています。ホークスに入れて良かったな、と思っています」 ――西武入団以降の8年間はで適応面での苦労はなかったですか。 「学生野球を終えてプロに入ってからは『キャンプがあってのシーズン』というのが本来の形でしたから、今年は、台湾の社会人の試合には出ていたものの、やはり試合の「強度」が違いますし、試合数もプロに比べずっと少ないので、イレギュラーというか、この半年間、自分にとって調整が難しいという部分はありましたね」 ――母国、台湾のプロ野球でプレーしている感覚はいかがですか。 「毎日試合をやっていると、生活の部分ではあんまり変わりはないんですが、「冷静に考えたら、今、台湾で野球やっているんだな。帰ってきたんだな」って、そんな風に思うことが、時々あります。実際にプレーしてみると、それほど違いは感じないというのが正直なところです。ただ、打者についていうと、台湾は個性豊かというか、タイプに関わらず、どんな打者もフルスイングをする感じなのに対し、日本の打者は小技を使ったり、ヒットに徹する選手もいて、各選手が自分の役割をよくわかったうえで、その役割を徹底している、という気がします。ピッチャーについて1番違うのは、日本の投手はほぼみんな、フォークを持っていることですね。台湾では、各球団1人か2人しかフォークを持っていないので。特に、追い込まれるまでは、日本の時ほどはケアしなくて済む部分はあります。あとは、投手有利のカウントで、台湾はストレートで勝負してくる傾向がありますが、日本では変化球というケースも多いですね。 ――国際大会も含めて、台湾の応援スタイルについてはどう思われますか。 「日本とは違い、内野に応援団がいて、一、三塁の内野から外野にかけてホームのファンが席を埋める『オールホーム』という形でやっています。プレーしてみて、ホームの時は力になるし、盛り上がりますよね。より、エンターテイメント性が高い感じです。野球は国によってプレースタイルが異なりますが、応援も異なるので、そこが見どころの一つだと思います。日本のファンにも是非注目してもらいたいですね」 ――元NPB、そしてWBC台湾代表でもある王柏融選手からの助言は。 「特に、アドバイスといったものはないです(笑)。一緒に日本で長いことやってきたんで、ボーロンも日本のスタイルに慣れちゃったかなと僕は見ていて、まあ、ふたりとも新たなスタイルというか、ボーロンもCPBL経験者といっても、5年以上離れると台湾のレベルも高くなっているので、僕は『挑戦者』の気持ちで、新たな環境に慣れることを一番に心がけています」