「大事なのは情報共有とリーダーシップ」 積極的な発信で感染拡大や差別を許さない
新型コロナウイルスの感染者が増え、一時、自衛隊や厚労省が出動する事態にまでなった福井県。地元の病院、県庁、医師会などはどうタッグを組んで乗り切ったのだろうか?「なんといっても大事なのは情報共有でした」。報道対応や情報発信も熱心に行った福井県医師会長の池端幸彦さんにお話を伺いました。【BuzzFeed Japan Medical / 岩永直子】 【前編はこちら】「みんなが少しずつ無理をして」
最初から力を入れた記者会見
ーー福井県医師会は、メディア対応をすごく上手にやられましたね。医師会が独自の緊急事態宣言を4月6日に出した時に、まず記者会見を開きました。地方では医療を専門に取材する医療記者は少ないので、あまり医師会を取材しないですよね。 県医師会と地元の記者さんたちとの関係性は実はそれまであまりありませんでした。 実は私が会長になった時の所信表明の5本柱の中に、「広報活動の充実」を掲げて初めて記者会見をしたんです。定期的に記者会見をすることを宣言し、新型コロナが流行するまで2回ほどは、別のテーマで会見は開いていました。 ただ、最初に会長に就任した際に記者会見をやったのですが、来て頂けたのはたった3社だけでした。 新型コロナの際の参加者は、すごかったですよ。ニュース性があったんでしょうね。重大宣言をするからということで、投げ込みをしました。 以前から日本慢性期医療協会という、療養病床を中心とした全国組織の事務局長兼副会長を務めているのですが、その会長が毎月理事会が終わると必ず記者会見をやってアピールするのです。 そこに毎回私も立ち会って、「記事にしてもらうにはこう話した方がいい」などと色々教えてもらいました。だから、記者会見を開くことにはある程度慣れていたんですね。県医師会でバックボードも持っているところは、なかなかないと思います。 ーー新型コロナで政府はリスクコミュニケーションがとても下手です。だけど感染症は一般の人の協力がないと乗り越えられない。情報発信はとても大事ですね。 私も自分でやりながら、それをすごく実感しました。 最初、メディアの方々もあまり理解されていなくて結構トンチンカンな質問が出ていたんですけれども、やり続けることによってすごく良くなりました。こちらが伝えたいことをちゃんと理解して伝えていただいて、県民との意思疎通がすごくうまくできるようになったのです。