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複雑な愛憎リアルに 中国の朝鮮族自治州出身 角田龍一監督の映画「血筋」公開

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京都新聞

 中国の延辺朝鮮族自治州・延吉出身の角田(つのだ)龍一監督(27)による初めての映画「血筋」が、16~22日に京都シネマ(京都市下京区)で上映される。大学時代から撮影を始め、5年をかけて完成したドキュメンタリー映画で、親子関係につきまとう複合的な感情や愛憎を描き出す。  映画は、祖父母に会いに延吉に帰郷した主人公「ソンウ」が、韓国にいる音信不通の父親を探し始める。18年ぶりに出会った父親は、かつて画家を目指していたが、今は借金取りに追われる身だった-という物語。  小型のハンディカメラで撮られた家族の表情は不自然さがなく、会話は「どうしようもない父親」との容赦ない本音が飛び交う。親子げんかをしても翌日にはケロッとして普通に会話をするなど、どこにでもいる親子の姿が映し出される。「確かにこの関係はウソっぽい。でもこのうさんくささにリアリティーがある」。  角田さんは10歳で母親と日本に移住し、新潟県立大を卒業した。映画への関心が強く、日本の生活が同じ10年になったことをきっかけに、20歳から長期休暇などを利用して延吉や韓国に渡り、撮影を続けた。  映画が完成した2018年には京都の寺に住んでいた。朝早く起きて寺の掃除や食事の準備をし、アルバイトをしながら深夜に編集作業をする日々を送った。  ごく私的な体験を、リアリティーを消すことなく、見て楽しめる物語を持った映画にする難しさに苦闘した。「退屈で監督の自己満足になるのがいちばん怖かった」。約80時間の録画全てを文字に起こした上で編集を繰り返し、世界中で見てもらいたいという思いから日中韓英の字幕を付けた。  国内外で自主上映会を開き、カナザワ映画祭2019(金沢市)では「期待の新人監督賞」でグランプリを獲得した。  中国、北朝鮮、ロシアに囲まれ、北海道と同じ緯度に位置する同自治州を舞台にしたドキュメンタリー映画は珍しく「世界で初めて」という。韓国への出稼ぎが多く、一家が離れて暮らす自治州の現在の生活や、歴史も見えてくる。

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