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ニコラス・ケイジ×ラヴクラフト…『カラー・アウト・オブ・スペース』のヤバすぎる魅力

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MOVIE WALKER PRESS

ニコラス・ケイジ主演のSFドラマ『カラー・アウト・オブ・スペース 遭遇』(上映中)。人里離れた森に暮らす一家の庭に、隕石が落下したことに始まる地球外変異体からの脅威を描く本作は、“クトゥルフ神話”のもとになったと言われるハワード・フィリップス・ラヴクラフトの小説を原作としている。今回は、オカルトファンにはおなじみのラヴクラフトとその影響、そして狂っていく主人公を演じたケイジの迫力あるキレ芸を紹介したい。 【写真を見る】クトゥルフ神話の原型を作ったハワード・フィリップス・ラヴクラフトとは? ■クトゥルフ神話とラヴクラフトとは? ラヴクラフトについて説明する前に、だれもが一度は耳にしたことがあると思われるクトゥルフ神話について触れておきたい。クトゥルフ神話は“神話”と言われてはいるが、近年に創作された架空の神々や異形の存在を書いた物語で、タコやイカ、コウモリなどをかけ合わせたような巨大な神クトゥルフが有名。そして、このクトゥルフ神話の原型を作ったのが、1920~30年代に活躍した小説家のラヴクラフトだ。 ガンを患い、46歳で亡くなったラヴクラフトだが、その生涯で数多くの怪奇小説、幻想小説を書き残し、現代でもスティーヴン・キングなど多くのクリエイターに影響を与えている。彼自身が名付けた“宇宙的恐怖(コズミックホラー)”というジャンルの物語で、人智を超えた“なにか”が現れ、登場人物がなす術もなく翻弄されていくのが基本の流れだ。 得体の知れない不気味な作風が人気となるが、発表誌がパルプ・マガジンだったため世間的には無名に近く、生活も生涯苦しかったと言われている。そして、ラヴクラフトの死後、彼の作品を埋もれさせてはいけないという思いから、作家仲間たちが作品集を出版。その後も世界観を引き継ぐ作品が後続の作家たちによって書き続けられ、それが体形化してクトゥルフ神話ができあがった。 ■日本のアニメにも影響を与えているラヴクラフト 『死霊のはらわた』(81)や『ヘルボーイ』(04)、『クローバーフィールド HAKAISHA』(08)など、ラヴクラフトやクトゥルフ神話に影響を受けたと言われる映像作品は枚挙に暇がない。ジャンルも様々で、日本のアニメでもこの流れを汲んだ作品を確認することができる。2000年に放送された「デジモンアドベンチャー02」の第13話「ダゴモンの呼び声」はラヴクラフトの代表作「クトゥルフの呼び声」をベースにしているし、『映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』(17)も同じく「狂気の山脈にて」をモチーフにしていると言われている。 ■ニコラス・ケイジのキレ芸がヤバい! 1927年に雑誌に掲載された「宇宙からの色」を映画化した『カラー・アウト・オブ・スペース 遭遇』。物語は、大都会から閑静な人里離れた森の奥に移り住んだネイサン(ケイジ)らガードナー一家を中心に展開する。妻テレサ(ジョエリー・リチャードソン)や3人の子どもたちと理想の生活を送るネイサンの平穏な日々は、突然、庭に隕石が落下したことで終わりを告げる。 隕石からピンク色の不思議な光が放たれたかと思うと、得体の知れない生物が出現し、ネイサンたちもしだいに正気を失っていく。あまり詳しくは言及できないが、一家が飼育するアルパカに訪れる驚愕の現象など、いかにもラヴクラフト作品らしい超常的なできごとが次々と押し寄せてくる。 ネイサン役のケイジの存在感も抜群。近年は『オレの獲物はビンラディン』(16)や『マッド・ダディ』(17)、『マンディ 地獄のロード・ウォリアー』(17)といった作品を選ばない活躍で、目を見開いた狂気の表情や、頭のネジが何本もぶっ飛んだようなブチギレっぷりでも大勢のファンの心をつかんできた。 本作でも、栽培したトマトが隕石の影響でダメになり、怒りに震えながらそれを次々と口に運んでかじっては、「まずい!」と言いながら吐き出す行為を何度も繰り返す。かわいがっていたアルパカや、愛する妻や息子に訪れた悲劇に苦悶の表情を浮かべ、狂っていく様子を超ハイテンションで演じており、ケイジの危うい魅力を存分に堪能することができる。 “ラヴクラフト”ファンや“クトゥルフ”ファンはもちろん、“ニコラス・ケイジ”ファンも楽しめる本作。人類ではどうすることもできない衝撃の結末をスクリーンで目撃してほしい。 文/平尾嘉浩(トライワークス)

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