来季のスローガンを発表する新庄監督（撮影・黒川智章）

　日本ハム新庄剛志監督（52）が来季開幕戦の相手となる西武西口文也監督（52）に“5倍返し”のサプライズ発表を行った。11月30日、エスコンフィールドで行われたファン感謝イベント「F FES」で昨年に続いて来季の開幕投手を発表するだけでなく、開幕4番、開幕Wストッパー、本拠地開幕投手を次々と明かした。1週間前に同様に開幕投手を発表した西口監督に「マネをされた」と悔しがっていた球界随一のエンターテイナー指揮官がド派手にやり返した。 【写真】あいさつ中の金村を途中で押しのける新庄監督 　　　　◇　　　◇　　　◇ 　2万8170人のファンの前に立った新庄監督が、間髪入れずにスタンドにどよめきを起こし続けた。「F FES」の最終盤でのあいさつ。「いきなりですが、来年の大事な大事な戦いの開幕投手（3月28日西武戦）を発表します…金村君で行きたいと思います」。来年が3年目の今季7勝右腕を指名するとファンは騒然とした。ここまでは昨年と同じ流れ。今年はサプライズが止まらなかった。 　新庄監督が次に発表したのは本拠地開幕投手だ。「ちなみに伊藤君は（CS）ファイナルで（ソフトバンクに）ボコボコにやられたのでエスコンの開幕、任せたいと思います」と来年4月1日ソフトバンク戦のリベンジ先発に指名。「次に来年の開幕4番、野村君で行きたいと思います」と発表し、さらに「続きまして、抑えを…斎藤友貴哉。もう1人、田中正義」と開幕W守護神まで言い切った。 　選手の誰ひとり知らなかったサプライズ発表5連発だが、29日夜の新庄監督はその演出に否定的だった。理由は「マネされたでしょ。だから嫌なのよ」。1週間前に西武西口監督が同様に開幕投手を今井とサプライズ発表。昨年始めた十八番のパフォーマンスを先取りされたことで、開幕投手の発表も「今回は最後の最後まで言わんとこうかな」と示唆していたが、フタを開ければサプライズの手数で圧倒してみせた。 　開幕投手に金村を指名した理由は「オフの過ごし方で人間的に成長させる方法は開幕投手が一番いい」から。今季キャリアハイの成績を残した伊藤のような成長を金村にも期待している。それは野村、斎藤、田中正も同様。早期の発表で選手に責任を持たせることで「化けるかもしれない」。それぞれがレベルアップすれば、戦力の底上げも図れる。これが新庄流の選手成長メソッドでもある。 　伊藤を2カード目に持っていくのも「いい投手が開幕4戦目になったら、相手投手も悪くなりそうで…なんかチャンスありそうでしょ」と戦略的に勝ちを拾いやすくするためのプランでもある。本気で日本一を狙う就任4年目の来季へ向けて、新庄監督が大胆に仕掛けた。【木下大輔】