巨人の4番はギャレットで大丈夫なのか
元千葉ロッテで評論家の里崎智也氏も、「4番は誰でもいいでしょうが、大事なのは並び。キャッチャーからすれば、次が嫌だからこいつで勝負しなきゃいけないと考えるのと、次は楽だからファアボールになっていいので厳しく攻めようと考えるのでは、大きく違う。常に前者のようなプレッシャーをバッテリーに与える並びを組めるか、どうかでしょう」と言う。 その意味では、ギャレットが結果を出して4番に入れば、阿部、長野を6番、7番で使えるメリットが生まれてきてバッテリーに「次が怖い」とプレッシャーを与えることになる。 しかし、ギャレットのオープン戦7試合の内容を信用していいのか? ギャレットの4番で大丈夫なのか? という根本の議論も残っている。シート打撃では、変則左腕の公文克彦からアーチを放ったが、アメリカでの対左投手の打率は.194と低く、他球団の外国人担当からは「あれだけ左に弱いと、右投手先発のときしか使えないでしょう」という声まである。 前述の里崎氏は、「外国人についてオープン戦で使えるかどうかの結論を出すのは非常に難しい。さっぱり打てなくても本番で対応できる外国人もいるし、その逆もいる。ただ得てして、日本語を覚えようとするような頭のいい外国人は対応して成功する傾向にはある。ギャレットも、頭を使って考えている部分は見えますよね」と見ている。 里崎氏が指摘するのは、大谷翔平が「力でどれだけ押せるか試した」と全力投球で勝負してきた2日の日ハム戦。ギャレットは、最初の打席はフォークで三振に倒れたが、第二打席では、160キロ、大谷の最速タイとなる162キロのストレートで、ポンポンと追い込まれてから、続く3球目のフォークにバットが止まったのだ。結局、フォークの連投で三振したが、里崎氏は、「普通なら手を出してもおかしくないフォークを簡単に見逃した。タイミングが合わなかっただけかもしれないが、頭を使っているなあというのが見てとれた」と気に留めた。 「左に弱いという来日前の評価だったが、左からも打っているし、とりわけ苦手感はまだ見えない。バッターボックスからかなり離れて立っていて、バッテリーの配球のヒントにはなるが、ダイエー時代に3年連続で3割、20本以上を打ったペドロ・バルデスなんかも、そういうスタイルで結果を出しているから。それが欠点とは言えない。すべては本番での結果次第ですよ」 現在、キャッチャーに再転向する阿部が2軍調整中で、オープン戦でもDH出場だけで、まだマスクをかぶることができていない。調整がうまく運べばいいが、遅れれば4番は、ギャレットか長野かの選択肢しかなくなってくる。その意味でも、4番・ギャレットへの期待感は高く、今季の高橋巨人の命運を握る存在であるのかもしれない。 (文責・駒沢悟/スポーツライター)