もし年度代表馬がポイント制で選ばれていたら…
2020年度JRA賞が6日に発表された。注目の年度代表馬は、芝G1・9勝の快挙を達成したアーモンドアイと、史上初の父子無敗3冠を達成したコントレイルの一騎打ちとみられていたが、ジャパンCでの直接対決を制した前者に軍配。しかも、283票中236票を集め、コントレイルの44票とは大差がついた。もっと票数が接近すると思っていただけに、少し意外だった。 「どの馬が選ばれるにせよ、毎年のように議論が巻き起こる。それだったら記者投票をやめて、レースの(着順による)ポイント制にしてみてはどうか。全く味気なくなっちゃうかもしれないけどね」と私見を述べるのは美浦の某調教師。投票者の主観を排除し、機械的に各馬が年間を通じて獲得した得点でのみ決定するシステムだ。もし、仮に全てポイント制で決めた場合、過去の年度代表馬はどうなっていたのだろうか。 仮計算にあたり、以下のルールを設けてみた。もっと細かい部分の調整は当然あるだろうが、ざっくりと分かりやすさ優先でポイントを設定したい。 ・8大競走(皐月賞、ダービー、菊花賞、桜花賞、オークス、天皇賞春&秋、有馬記念)にジャパンCを加えた9レースの1着を12点、2着を4点。 ・それ以外のG1は1着10点、2着3点。 ・海外G1は1着のみ10点。 さて、このルールに基づく過去10年の年度代表馬は-。 ※()内は実際の年度代表馬。 11年(オルフェーヴル) 1位オルフェーヴル…48点、2位トランセンド…30点 12年(ジェンティルドンナ) 1位ジェンティルドンナ…46点、2位ゴールドシップ…36点 13年(ロードカナロア) 1位ロードカナロア…40点、2位メイショウマンボ…32点 14年(ジェンティルドンナ) 1位ジェンティルドンナ…26点、2位ジャスタウェイ…24点 15年(モーリス) 1位モーリス…30点、2位ドゥラメンテ…24点 16年(キタサンブラック) 1位モーリス…35点、同点2位・キタサンブラック、サトノダイヤモンド…28点 17年(キタサンブラック) 1位キタサンブラック…46点、同点2位・ゴールドドリーム、オジュウチョウサン…20点 18年(アーモンドアイ) 1位アーモンドアイ…46点、2位ファインニードル…20点 19年(リスグラシュー) 1位リスグラシュー…32点、同点2位・アーモンドアイ、インディチャンプ、アドマイヤマーズ…20点 20年(アーモンドアイ) 1位コントレイル…40点、2位アーモンドアイ…37点 あれ、思いのほか妥当なセンをいってるのかも?実際の結果と違ったのは、16年と20年の2回だけ。結局のところ、昨年は“例外”の年だったわけだ。システム的に選ぶとコントレイルに決まっていた。しかし、3冠馬3頭が顔をそろえた20年ジャパンCは、ファンだけでなく現場で取材する記者の胸を打つレースだった。その歴史的一戦を制したアーモンドアイが選ばれた。数年後に振り返った時、その年の“熱気”を感じ取れる投票結果に、改めて納得してもらえるのではないかと思う。 もちろん、史上3頭目の無敗クラシック3冠を達成したコントレイルの偉業の価値を、誰もが高く評価しているのも間違いない。もし、今後もさまざまな議論が出てくるようなら、ポイントシステムを制定し、記者投票による年度代表馬と年間最多ポイントを獲得した馬が異なったケースのみ、年間最多ポイント馬を表彰してもいいのではないだろうか。(デイリースポーツ・刀根善郎)