「小池都政1期目」を歴代知事と比較すると? 4年間を振り返る
歴代の都知事の1期目
「初の女性都知事、都政を大掃除します!」と言って誕生した小池都政の看板は「東京大改革」だった。 その柱は(1)都政改革本部をつくり「都政の闇」に切り込む(2)「セーフシティー」「ダイバーシティー」「スマートシティー」からなる“新しい東京”をつくる(3)東京五輪・パラリンピックを成功に導く――の3点。 こうした看板はいつの時代の都知事も掲げている。美濃部都政の「広場と青空の東京構想」、鈴木都政の「マイタウン東京構想」、石原都政の「東京から日本を変える」という具合に。しかも1期目の実績も明示的なもの。美濃部都政は1期目に老人医療無料化や公害防止条例の制定、鈴木都政は大胆な行政改革で3年目には、就任時に3400億円あった都政の赤字を解消、石原都政も3年で青島都政の赤字を解消し銀行税や新銀行の創設に力を注いでいる。
小池知事、4年間の実績は?
「これまで見たことのない都政を実現する」と啖呵(たんか)を切って始まった「東京大改革」と称する小池都政の1期目はどんな実績があるだろうか。 まず思い起こされるのは、就任早々豊洲市場の移転に関して盛り土がない、土壌汚染対策が不十分、地下に空洞がある、東京ガスからの土地購入に疑惑があるなどを問題にしたこと。移転を2年延期し、移転に関わった石原慎太郎や東京ガス社長ら21名を都議会の証人喚問に付し、伏魔殿(ふくまでん)都政を解体することに力を入れた点だろう。 もう1つは、就任1年2か月で“希望の党”を立ち上げ、自らが党首となって大量の候補者を擁立し衆院選を戦ったことだろう。その少し前の都議選では“都民ファーストの会”という地域政党のメンバーを55人も当選させ、都議会第1党の支持勢力をつくった。 ただ、希望の党は2017年10月の衆院選で大惨敗。以後2年余、鳴かず飛ばずの都政が続いた。小池をもう一度舞台へ引き戻すことになったのは新型コロナウイルスの大流行だった。今回の都知事選で圧勝した背景には、コロナ禍対策に奮戦する小池の姿が連日テレビに映し出されたことが少なからず影響したのではないか。 3年前の都議選直前には「築地は守る、豊洲は生かす」と名セリフを。だが、築地移転後の跡地利用に仲買い業者だけは戻す、食のテーマパークをつくる、国際会議場を建てる、コロナ対策のため議論は中止する、と二転三転していく。どうしてかと聞くと「私のAI(人工知能)で決めた、閃(ひらめ)きだ」と答える始末。 こうした都政運営を、ある都知事経験者や幹部らは「小池知事はいろいろ食い散らかして、後は片づけない」と論評。行政の継続性、安定性を欠く都政に不安を残した。