GACKTやてんちむにも矛先が…芸能人プロデュース商品、責任はどこまで?
世の中には、タレントがプロデュースした商品が多数存在するが、稀にトラブルが起こることも。最近では、GACKTとローランドがプロデュースする『G&R』から発売されたドレスが、他社デザインの模倣だったことを認め、株式会社dazzyが謝罪コメントを発表した。他にも昨年では、てんちむのプロデュースしていたナイトブラ『モテフィット』が、商品に関する事実を隠して販売していたとし、返金対応。てんちむ自身が大きな借金を抱えることになった。このようなケースでは、問題が起きたときの責任はだれが、どこまで取るべきなのか? レイ法律事務所代表弁護士の佐藤大和先生に話を聞いた。 【写真】てんちむ落差が激しすぎるビフォーアフター…「いい女」「働きたくない」海での白肌露出カットも ■プロデュース商品への関与の大きさに、明確な基準はない ――一般的に「タレントプロデュース」という名目の中では、どのような契約状況が想定されるのでしょうか? 【佐藤弁護士】『プロデュース業務委託契約』や『コラボレーション契約』など、契約書の名称自体は様々ですが、一般的には、タレントが企業に対して、該当商品のデザインや色などについて考案したり、助言や監修をしたりすることが多いといえます。 ――商品にどの程度関与していると、“タレントのプロデュース”と銘打てるのでしょうか? 【佐藤弁護士】様々な契約書等を見る限り、タレントが考案せず、単に簡単な監修をしているだけでも『タレントのプロデュース』とされていることもあります。法的にどこまでタレントが関与していたら、『タレントのプロデュース』と銘打てるのかという基準はないように思います。もちろん、全く関与していない場合には問題になるかと思います。 ――『G&R』の場合を例にすると、GACKTさん、ローランドさん、企画に携わった門りょうさん、株式会社dazzyが模倣を認めて謝罪しましたが、そもそも、デザインを模倣する行為は違法、罰則の対象にならないのでしょうか。 【佐藤弁護士】他社のデザインを模倣する行為は、『知的財産権等の侵害』となり得ます。法的な議論の分かれるところですが、仮にデザインについて著作権が認められる場合、無断でデザインを模倣したり、改変したりする場合、『著作権侵害』が成立します。また、ダイレクトにデザインを保護する法律として『意匠法』という法律があり、登録されているデザインを模倣等すれば、『意匠権侵害』も成立します。また、不正競争防止法などその他の法律にも抵触する可能性があり、違法行為といえます。 ■パロディも場合によっては違法となる可能性も…クリエイターも法律の勉強が不可欠 ――デザインの模倣は、何をもって模倣とされるのでしょうか? 許されるラインと模倣と言われてしまう、線引きはどのあたりにあるのかを教えてください。 【佐藤弁護士】「ここからがセーフ、ここからがアウト」という線引きは一概には言えませんが、デザインの特徴的な部分が一緒であれば模倣とされる可能性が高くなります。 ――優れたデザインを模倣する行為がなくならないのはどうしてなのでしょうか? 【佐藤弁護士】これは個人的な考えになってしまうのですが、いくつかのパターンがあると思っています。まずは、(1)「このくらいであれば大丈夫」と思っている場合、(2)〆切になど過度に追い詰められ、ダメだと認識しながらもやってしまった場合、(3)そもそも「バレない」と思っている場合等があると思っています。そのため、クリエイターに対して、法律家による知的財産等の勉強をさせながら、過度に追い詰めないことが大事だと思っています。 ――現在はSNSなどもあり、1億人の目でパトロールされているともいえる状況ですが、あからさまなパクリ、模倣がどうしてバレずに済むと思ってしまうのでしょうか? 【佐藤弁護士】こちらも個人的な考えではありますが、「バレるかもしれない」とは認識していると思っています。もちろん似ているデザインがあると知らなかったケースもあるかと思いますが、法律に対する認識が甘いか、追い詰められてしまい、やってしまうケースも少なくないのではないかと思います。 ――また、パロディと模倣に、明確な違いはあるのでしょうか? 【佐藤弁護士】もちろんパロディも、その態様によっては、模倣と同様に『知的財産権等の侵害』になる可能性があります。そのため、明確な違いはないと思っていますが、概念的には、パロディは、特定の人物等を模して、ユーモアに表現するものであり、単なる模倣とは異なるでしょう。