長編監督デビュー作でカンヌ受賞!『PLAN 75』の早川千絵監督が語る、これまでとこれから
2022年6月17日(金)に公開された映画『PLAN 75』が、第75回カンヌ映画祭の新人監督賞(カメラドール)の次点となる特別表彰に輝いた早川千絵監督。授賞式では審査委員長から「この作品は私たちに必要な映画」と称えられた。現在40代の早川監督に、監督になるまでの経緯や新作への想い、クリエイターを目指す女性へのアドバイスを伺った。
ーー『PLAN 75』がカンヌ映画祭の「ある視点」部門に出品が決まったときの気持ちは?
「ノミネートを聞いたときはパリのスタジオにいました。この映画のサウンドの仕上げの最中だったのですが、突然、上の階からスタッフの歓声が聞こえてきたんです。あ、通ったんだなと知りました。スタッフたちが本当に喜んでくれたのが凄く嬉しかったし、内心ホッとしたことを覚えています」 (写真)授賞式で審査員長のロッシ・デパルマと。
ーーそもそも映画監督を目指したきっかけは?
「もともと映画は好きだったのですが、小学校の頃、子供会で『泥の河』という映画を見たんです、“この作品を作った人は自分の気持ちを理解してくれている”と思いました。 当時の自分が言葉にできずにいた感情が描かれていると感じ、そんな映画の見方ができる自分をなんだか誇らしく思ったのを覚えています。 その後は、こんな映画にまた出会いたいという気持ちで映画をたくさん見たり、小説を読んだりするようになりました。映画によって見知らぬ誰かと心を通わせた体験が、自分も映画を作りたいという気持ちにつながったんです」 (写真)レッドカーペットで出演者と。
ーー高校を卒業後、アメリカの大学に進学されます。アメリカを選択した理由は?
「高校の時、大学受験のための勉強を始めたのですが、日本の受験システムに疑問を感じていました。これだけの時間と労力をかけて勉強をしても、スコアはとれても英語を話せるようになるわけではないし、不毛な努力をしているような気になってしまったのです。このまま日本の大学に進学し、就職しても、平凡な未来しか思い描けなくて。 アメリカの大学は入るのは比較的楽でも、入ってからは勉強が大変と聞いていて、その方が自分のためになるし、4年も大学に行けば英語も話せるようになるだろうと。 想像できない環境に飛び込んだ方が、自分が変わるんじゃないかと思ったんです」 (写真)カンヌの記者会見。