例外的に入国が認められた「ビジネス関係者」は誰なのか?
政府は1月13日、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、緊急事態宣言の対象を11都府県へ広げることを発表した。同時に、11カ国・地域の外国人「ビジネス関係者」に例外的に認めていた入国制限緩和措置も、同宣言中は一時停止されることになった。
この措置に対し、強いこだわりを示していたのが菅義偉首相である。1月7日に緊急事態宣言を1都3県に発令した時点では、自民党内の反対論を押し切り、PCR検査の陰性証明を条件に同措置を続けると表明した。だが、その後も感染状況が悪化し、宣言の拡大が決まってやっと「一時停止」に踏み切った。 なぜ、菅氏が外国人の入国にこだわったのか。そもそも、大手メディアが「ビジネス関係者」と報じる外国人とは、どこの国の、どういった人たちなのか。 外国人への入国制限緩和は、政府の「新型コロナウイルス感染症対策本部」が定めた「国際的な人の往来再開に向けた段階的措置」のもと実施された。この措置などを通じ、昨年11月以降に入国した外国人の数を、法務省出入国在留管理庁が公開している。そのデータを集計すると、興味深い事実が判明する。 11月から今年1月21日までの間に入国した外国人は12万8625人だった。国籍で最も多いのが4万9106人のベトナム人、続いて中国人が3万9620人である。新聞などは緩和措置の対象は「中韓など11カ国・地域」だと表現していたが、実際にはベトナムと中国からの入国が7割に上っていたわけだ。 在留資格別に見ると、技能実習生が5万5754人、留学生が3万8565人で、合わせて全体の7割以上を占めている。「ビジネス関係者」の実態は、実習生や留学生であることがわかる。 実習生は、日本人の働き手が不足する職種で受け入れられる出稼ぎ労働者だ。留学生にも、勉強よりも出稼ぎを目的に来日する者が数多く含まれる。そして産業界には、低賃金の外国人労働者を求める声が強い。そんな声に応えるかたちで、政府は外国人の入国制限緩和措置を実施し、菅氏も継続にこだわったのだと見られる。 入管庁のデータでは、今年に入って以降、特定の国から、同じ在留資格を持つ外国人の入国ラッシュが起きていることもわかる。ベトナム人留学生の来日が急増しているのだ。 11月から12月にかけて入国したベトナム人実習生の数は、週1000~2000人前後だった。それが1月4日~10日には5682人、11~17日には5042人と一気に増える。この数は、同じ時期に入国制限緩和措置で来日した全外国人の半数以上に相当する。