女子バレー新戦術「Hybrid6」進化の鍵は?──眞鍋監督、木村沙織らに聞く
その迫田らの思いは?
迫田 WGPは(肩の故障でメンバー入りせず)外で見ていて、早くみんなの輪に入りたいなと。焦っていました。「ハイブリッド6」では誰が入ってもまわるので、他の人にはない“武器”をしっかりアピールして頑張っていきたいです。自分はやっぱりバックアタックで点を取っていきたい。課題だった真ん中でブロックを跳んだ後の切り返しでも、多くトスを呼んで、とにかく点を取りにいきたい。 木村 「ハイブリッド6」という戦術をもっと大きくしていくために、自分としてもバックアタックが少なかったかなという印象があるので、世界バレーでは迫田も戻ってきていますし、もう少し前後の関係の攻撃の幅を広げられたらと思います。 石井(優希) オポ(ジット)に入ることが多いので、打数を増やして苦しい場面で決められるようにしたい。難しいボールを失点にするのはなくて、相手が崩れるコースを狙うのも大事だと思うし、一本一本ちゃんと考えて打っていきたいと思っています。 バックアタックはもっと打ちたい。バックアタックを打つときに相手のブロックが見えないことが多かったんですけど、WGPが終わってから、助走を今までより少し後ろからにしてスピードを速くしたら、前に流れて(ブロードジャンプのように)打つ位置も前になり、打つコースがエンドラインギリギリぐらいだけでなく、少し長短もつくようになって。助走を変えたらブロックも見えてきた。前はぜんぜん見えないか、見えてもぼやっとって感じだったんですけど、今は、少しずつ、“あ、間ちゃんあいた”とか。見えたから終わりではなく決めないといけないですが、まずは見えないと話にならないということで強化して、大事なところで決められるようにしたいです。
新戦術の成否のカギ、「4つ」を世界一に
日本は世界一になるために、「4つ」の技術で世界一になることを目指している。その4つとは(1)サーブ(2)サーブレシーブ(3)ディグ(スパイクレシーブ)(4)失点の少なさ、である。それらは「ハイブリッド6」を支える重要な部分。WGPではどうだったか。 数字で見ると、木村はサーブ部門で世界1位、新鍋は57.89%という返球率でベストレシーバー、ディグでも佐野が1位と個人で見ると好成績を挙げていた。新鍋、木村らは丁寧なトスやつなぎの部分でもチームに貢献していた。 眞鍋監督 4つを世界一にしようとやってきているが、前回の世界バレー、W杯、ロンドン五輪、グラチャンと一つだけしか世界一になれなかった。しかしWGPで日本独自のデータの中では、4つのうち2つが世界一になった。それで銅から銀メダルへと。もう2つを世界一にできれば、金メダルに近づく。新戦術には正確なサーブレシーブ、ディフェンス力が欠かせません。世界バレーには佐野(優子)が帯同していませんが、新鍋や佐藤、筒井ら若手がいるので、心配はしていません。 それからサーブ! 相手より平均身長が低い(平均身長で10cm違えば、腕の長さがあるので20cm差にも感じる)日本にとっては相手にAパス(セッターにきっちり返るサーブレシーブ)を入れさせないことが大切。ブロックの面からもサーブは大事。全員が相手を崩せるサーブを打てるように練習しています。相手が嫌がるジャンプ・フローターでネットすれすれで前に落としたり、回転のないサーブを。