このままでは第2の「珪藻土・アスベスト」事件が起きる ニトリやカインズは真相を解明できるか
2020年末、珪藻土バスマットなどにアスベスト(石綿)が混入していた問題が突如として沸き起こった。混入が発覚したのは、家具最大手ニトリホールディングス(HD)やホームセンター最大手カインズの製品。いずれも中国で製造されていたことが明らかになったが、その原因については両社とも調査中としている。 【画像で見る】ニトリの「回収商品を見分ける方法」 中国ではアスベストの使用が禁じられておらず、日本の法律を知らない(または軽視した)事業者が、“普通に”使ってしまった可能性が高い。ニトリ、カインズでは対象商品の自主回収を実施。フリーダイヤルの問い合わせ用窓口を設けて誠実に対処している。 厚生労働省は「よほどの破損が進んだ状態でなければ、固体ではアスベストが飛散する恐れはなく、健康被害は考えられない」と、あくまで法律上の基準を超えたアスベストが使用されていたことを問題にしている。 大阪府貝塚市におけるふるさと納税の返礼品にアスベストが混入していた件についても、20年11月27日に対象品を回収し、製造者の堀木工所(大阪府貝塚市)から代替品を送付する旨が発表されている。 12月末には、ヤマダホールディングス(HD)やイズミなどの店舗で取り扱っていた珪藻土バスマットに関して、新たにアスベストが混入していることが分かり、両社が自主回収をしている。これらは不二貿易(福岡県北九州市)が中国から輸入・販売しており、同社も自主回収を行っている。 このように、今回の珪藻土バスマットなどへのアスベスト混入騒動は、重大な健康被害まで発展するリスクはほとんどない。しかし、コロナ禍で海外に渡航しにくい状況でもあり、真相究明には時間がかかる。そして、その作業は困難を極める見込みだ。
日本で製造されなくなった経緯
珪藻土とアスベストは全く異なった素材であり、通常の状態で混じることはない。従って、通常の珪藻土製品にアスベストは入っていない。 アスベストは天然に産出する鉱物繊維で、白石綿(クリソタイル)、茶石綿(アモサイト)、青石綿(クロシドライト)など6種類がある。耐火性、断熱性、電気絶縁性が高く、断熱、保温、防音などを目的に、建築や工業用資材として戦後の高度成長期に重用された。また、セメントとの親和性が高く、補強に用いられている。アスベストの用途は3000種類といわれるほど多岐にわたった。 しかし、肺がん、悪性中皮腫などの健康被害をもたらすことから、1970年代半より規制が始まり、段階的に強化された。2006年9月には労働安全衛生法の改正により、アスベストの含有量が重量の0.1%を超える製品の製造・輸入が禁止された。こうして、日本国内ではアスベスト含有成型板は製造されなくなった。 アスベストは非常に軽く、空中に飛散しやすい性質がある。規制がなかった頃に建てられて老朽化した住宅やビルの解体現場などでは、飛散している可能性がある。アスベストを吸い込むと発生する健康被害は、1日後や1年後といった短期にもたらされるのでなく、長い期間をかけて発症する性質のものだ。 では、アスベストはなぜ珪藻土バスマットに混入したのか。