「クマを殺すな」「山に返せ!」クマ駆除に抗議する人たちに「圧倒的に欠けているもの」の正体…昨今、クマ駆除に“ブチ切れる人”なぜ増えた?
秋田県秋田市のスーパーにクマが侵入したのは11月30日。47歳の男性従業員が襲われて頭などを負傷し、クマは2日以上にわたって居座り続けましたが、わなにかかった後に麻酔で眠らされ、その後駆除されたそうです。 【写真】秋田で人気?「ツキノワグマの自販機」と、確かに可愛い…「ツキノワグマの赤ちゃん」 これらが報じられると、市などに100件を超える抗議の声が寄せられたことが波紋を呼びました。 「人間の都合で殺すな」「山に返すべき」「かわいそう」などと抗議する声に賛否があがっていますが、このような現象は今回だけではありません。クマの出没が各地で相次いで報じられ、そのたびに同じような命をめぐる論争が起きています。
また、先月末には北海道猟友会が71の支部に「クマ駆除要請の拒否を認める通知を出した」ことが大きく報じられました。これは2018年に同道砂川市のハンターが発砲した際、危険性を理由に猟銃所持許可を取り消された札幌高裁判決を受けたものでしたが、このときにも「クマの駆除」に関する論争が起きました。 ■命は重くても抗議は行き過ぎ はたしてクマ駆除の反対派による「命の重さ」「動物愛護」「自然との共生」などの主張は妥当なのか。度重なる論争の本質はどこにあるのか。そして何か悪影響を及ぼしているものはないのか。掘り下げていきます。
【写真を見る】秋田で人気? 「ツキノワグマの自販機」と、確かに可愛い…「ツキノワグマの赤ちゃん」(6枚) まず今回のケースに関しては、クマ駆除の反対派による「命の重さ」「動物愛護」「自然との共生」などの主張は、1つの貴重な意見でこそあれ、妥当とは言いづらい感があります。 クマがスーパーの商品を食べた可能性がゼロではないこと。少なくとも食べ物の存在を知ったことから、山に返しても再びスーパーを訪れるリスクがあり、住民や店員の不安が募ること。
地元では今月数十件の目撃情報があったうえに、捕獲翌日に別のクマの目撃情報もあったなど、ゆったり対応している余裕がないこと。だから秋田県、秋田市、警察が連動して懸命に対応したこと。 また、秋田に限った話ではない部分で、このところ市街地に出没したケースが続くなどクマの生息圏内に住む人々の危機感が増していること。 山に食べるものがないからではなく、あるときでもおいしいものを大量に食べようと人里に降りてくるなどクマの学習能力が上がっていること。自分たちの命だけでなく、住宅や農作物などの財産も守りたいと思っていること。だから自治体には抗議ばかりではなく、感謝の声も多数寄せられていること。