「避難勧告」出たらどうする? 仙台では避難わずか1%未満
午前6時過ぎに起きると、避難所では暖かいごはんが提供された。少しだけ雨の勢いが弱まったこの時間から家に帰る人が出始め、午前7時までには避難者は3、4人まで減った。土砂災害の危険性から避難勧告は出されたままだったが、人が少なくなっていく中、避難住民からは「いつまでここにいるべきなのかがよく分からない」との声が漏れていた。
避難わずか1%
住民に避難を呼びかける行政の発令としては、「避難準備情報」、「避難勧告」、「避難指示」の3段階がある。首相官邸HPによると、「避難準備情報」は、高齢者など避難に時間のかかる人が避難を始めなければならない段階で、被害の発生する可能性が高まった場合。「避難勧告」は通常の避難ができる人が避難を始めなければならない段階で、被害の発生する可能性が明らかに高まった場合。「避難指示」は被害の発生する危険性が非常に高いと判断される場合に発令するとされている。「避難指示」は最も危険でただちに避難を完了しなければならないとされている一方、「避難勧告」は3段階の中で、中段階といえる。 仙台市では午前4時までに、土砂災害の危険性があるとして約31万人、川の氾濫のおそれがあるとして約10万人の延べ約41万人に「避難勧告」が出されたが、仙台市によると午前5時時点で避難所に避難していた住民は市内142カ所で計3094人と、わずか1%に満たなかった。
「避難勧告」の危険度は
「避難勧告」は、どのくらい危険が差し迫った状況なのだろうか。仙台市災害対策本部によると、避難勧告は例えば土砂災害の危険性がある場合、ハザードマップで危険区域として網がけされている場所が含まれている地区全体に出される。よって、本当に危険があるとされる「網がけされた場所」以外の世帯も含めて地区全体に勧告がなされており、避難勧告が出された全世帯が必ず避難すべき状態にあるとまではいえないという。とはいえ、昨年8月の広島市の土砂災害では、広島市は土砂災害発生前に被災地区に「避難勧告」を出すことができなかった。その教訓を踏まえ、万が一の可能性や想定外の事態が起こりうることを考えると、どうしても対象地域を広く指定しなければならないのが現状だろう。