中国が「ガリウム・ゲルマニウム」の対米輸出禁止 電池材料のグラファイトも、迂回輸出も監視へ
中国商務省は12月3日、ガリウムやゲルマニウムなどの希少金属のアメリカ向け輸出を即日禁止すると発表した。さらに、工業用素材のグラファイト(黒鉛)のアメリカ向け輸出についても審査を厳しくする。 【写真】中国企業が精錬したゲルマニウムのインゴット ガリウムやゲルマニウムは半導体の材料として広く用いられている。グラファイトはEV(電気自動車)用車載電池の主要な材料の1つだ。 今回の措置の前にも、中国商務省はデュアルユース(軍民両用)物資を対象にした輸出規制を2回にわたり強化していた。だが、過去の措置が対象物資の輸出を許可制にするものだったのに対し、今回は対象物資の輸出禁止または輸出審査強化という、より厳しい対応になった。
それだけではない。中国商務省は今回の措置について、「いかなる国・地域の組織または個人であっても、規定に違反すれば法律に基づいて責任を問われる」と強調した。これは第三国を経由した迂回輸出に対しても、中国政府が厳しく監視の目を光らせるという意味だ。 ■米国の対中禁輸強化に対抗 中国政府による今回の輸出規制強化は、アメリカ政府が先端半導体の対中輸出規制を強化したことへの対抗措置と見られている。 アメリカ商務省の産業安全保障局(BIS)は12月2日、デュアルユースが可能な先端半導体を中国が生産する能力を弱めるため、136社の中国企業を「エンティティーリスト」(訳注:アメリカの国家安全保障や外交政策上の利益に反すると判断された企業等のリストで、事実上の禁輸対象)に追加したと発表した。
と同時に、BISは24種類の半導体製造装置、半導体開発用の3種類のソフトウェアツール、AI半導体に不可欠な広帯域メモリ(HBM)を対中輸出規制の対象に加えた。 (訳注:アメリカ政府の対中輸出規制強化については「米国政府が対中『半導体輸出規制』を三たび強化」を参照) 中国のガリウム、ゲルマニウム、グラファイトの生産量および輸出量は、いずれも世界最大だ。アメリカ地質調査所(USGS)の調べによれば、中国が2023年に生産したガリウムとゲルマニウムは世界の総生産量の90%以上、グラファイトは同77%を占めた。